ＦＳＪ通信号外１８７

　　　ＦＳＪ通信

　　　　　　　　　　　　号外３７３　２０１５年７月２３日

※日本ジャーナリスト会議の機関紙「ジャーナリスト」に連載している筆者のコラム「大野晃のスポーツコラム」から２０１５年７月号（２０１５年７月２５日発行）掲載予定の原稿を参考にしていただくため転載致します。　　　　　　　　　　　　　　　　　　

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　大野　晃

　　　　　　◇新国立競技場　政権の面子で巨税投入◇

新国立競技場の超巨額建設が強引に進められようとしている。

圧倒的に多くの国民やあらゆる建築専門家、そして、あらゆるマスメディアの批判に耳を傾けることなく、安倍政権は、自らの誤りを国民の巨額税金投入で糊塗しようとしている。

３年前のロンドン五輪のメーン会場は約８００億円もの巨額建設が問題とされたが、２０２０年東京五輪のメーン会場建設はなんと、その３倍以上の２５２０億円。

巨大なヘルメットを思わせる屋根に覆われた外観で、五輪後に先送りされた開閉式屋根や電動式可動席建設を含めれば３０００億円を超えるという。

超巨額の要因は屋根を支える巨大な２本の弓状構造物（キールアーチ）に約７６５億円もかかるデザインにある。

東京五輪招致の目玉にと、事業主体であるサッカーくじの胴元・日本スポーツ振興センターが国際公募で採用したデザインで、１９年ワールドカップ（Ｗ杯）のメーン会場に使用する日本ラグビー協会は国際ラグビー機構のホームページで世界宣伝。

東京五輪開催が決定した国際オリンピック委員会総会では、安倍首相自らが「真新しいスタジアム」と建設を確約した。

１３００億円程度の建設費とたかをくくっていたが、実際に建設を契約する大成建設と竹中工務店の見積もりで大幅に跳ね上がった。

デザイン変更を求める建築専門家らの提案に、政府は「変更ではラグビーＷ杯に間に合わない。国際公約に違反する」と見直しを拒否。

森喜郎・東京五輪組織委員会会長は、前日本ラグビー協会長で、河野一郎・日本スポーツ振興センター理事長は同協会理事。

遠藤利明・五輪担当相も中大ラグビー同好会出身と、ラグビー３人男が推進役とはいえ、安倍首相の口先き公約が重くのしかかっている。

財源の目途が立たない中での強行だから、超巨額の税金投入が予想されるが、政権の面子を保つための途方もない無駄使い。

浮かれた政権の尻拭いを国民に強制することが、許されるはずもない。

２０１５年７月１４日記