テレビのスポーツニュースが中継放送番組の宣伝の場となっている。

　とりわけ、公共性が問題視されているＮＨＫのスポーツニュースは、ＢＳ放送の宣伝番組のようだ。

　サッカーのワールドカップ（Ｗ杯）アジア予選で日本代表が北朝鮮と争った６月８日は、朝から試合開始直前の夕方のニュース時間まで、必ず「ＢＳで中継されます」を締めくくりの言葉として、「きょう決戦」が、他のニュースを押しのけてトップで報じられ続けた。

　２００２年サッカー日韓Ｗ杯の時や、２００４年アテネ五輪の時も同じで、やりすぎが批判されたものだが、ＮＨＫには反省という言葉がないらしい。

　内外に問題が山積していて報道すべき課題が多数あるというのに、中継放送する競技紹介を再優先していいのか。

　そのうえ、スポーツニュースの中身はＢＳで中継している米大リーグの日本人選手の結果が圧倒的である。

　「続いてスポーツです」と作り笑顔でアナウンスするより、「それでは、きょうのＢＳから」と番組宣伝であることを明言した方がわかりやすい。

　全国紙は、自社の主催、共催、後援する競技会を派手に紙面化して非難されることが多い。

　民放テレビは、「あと30日」といった掲示物を机上に置いて、通常のニュースを読み上げ、それが自社の独占中継放送する競技会の開幕までのカウントダウンであることを強調する。

　だから各局バラバラで、何が最も注目されているのか、混乱させる。

　スポーツ報道の商業主義化が深く浸透していることを証明するマスメディアの開き直りである。

　しかも報道内容は横並びで、新聞、テレビに大差なく、勝者礼讃に終始し、「がんばれニッポン」「ニッポンやった。感動だ」と、容易に国家主義的色彩を帯びる。

　商業主義と国家主義のドッキングがおそろしい。　

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　※５月号コラムのテコンドー問題で、文科省による全日本協会の法人化許可を受けて、日本オリンピック委員会は６月14日に、年度中の組織一本化を条件としながらも、全日本協会を承認団体とする方針を決めた。

　主体性欠如の汚点がまた一つ増えた。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　２００５年６月１７日記