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大野晃のラグビー通信 |
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第２４２号 ２０２３年１月７日 |
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◇東福岡が６年ぶり７回目の王座◇ ラグビーの２０２２年度第１０２回全国高校大会決勝は、２０２３年１月７日、東大阪市の花園ラグビー場で争われ、東福岡（福岡）が ４１―１０の３１点差をつけて、報徳学園（兵庫）に圧勝し、６年ぶり７回目の優勝を飾った。 東福岡は、当たり強い突破、確実な防御で、６トライを奪い、報徳学園を１トライに抑えて、圧倒した。 東福岡は、前半開始早々にチャージからの展開で先制トライを奪い、大きな展開でトライを加えた。 報徳学園にタックルからの展開でトライされたが、１２―７とリードした。 後半は、報徳学園がＰＧを決め、２点差に迫ったが、東福岡は、キックを使い、大きな展開で報徳学園を振り回し、４トライを奪い、ＰＧを決めて、突き放した。 報徳学園は、春の第２３回全国選抜大会の初優勝、夏の第９回全国７人制大会の初優勝に続き、高校３冠を目指したが、初の準優勝にとどまった。 東福岡は、２大会とも決勝で対したが、全国選抜大会では、新型コロナウイルス感染症の影響で出場辞退し、報徳学園の不戦勝だっただけに、見事に雪辱を果たした。 東福岡は、準決勝で、京都成章（京都）に対し、前半、展開連続攻撃で５トライを奪い、無得点に抑えて、３３―０と大量リード。 後半も展開してトライを加え、４０―０とリードを広げ、１０分から３連続トライを奪われたが、終了間際にトライし、４５―１７で圧勝して、６年ぶり１０回目の決勝進出を果たしていた。 報徳学園は、準決勝で、６回の優勝を誇る名門・天理（奈良）に対し、前半、展開攻撃で２トライを奪い、無得点に抑えて、１２―０とリード。 後半はモールの押し込みでトライされたが、展開押し込みと展開攻撃で２トライを加え、終了間際に縦突進押し込みの連続でトライされたが２６―１２と快勝し、初の決勝進出で、初優勝を目指していた。 両校の決勝対戦は初めてで、全国高校大会を通じても、初対戦だった。 ともに展開力に富み、好防御で、どちらがリズムをつかむかに勝負はかかったが、東福岡の強さが際立った。 東福岡は、準決勝で７トライを奪って勢いに乗り、素早く前へ出る出足の速さ、当たり強い突破、大きな展開、そして激しく前に出て倒す攻撃的防御で、圧倒的な強さを見せつけた。 前半早々に、ＫＯボールを取った報徳学園がタッチキックしようとするのを、鋭い出足でチャージし、ボールを奪って一気に展開して、ＷＴＢ上嶋がトライを奪った。 開始１分足らずの素早い防御からの速攻、先制だった。 報徳学園があっ気にとられる速攻で、５―０とリードすると、報徳学園のスピーディーで強力な縦突進を、当たり強い防御で抑え、スクラムで圧力をかけ、ラインアウトで優位に立った。 東福岡ペースで、１２分に、ラインアウトから展開して、大きなパスをつなぎ、ＦＢ石原が突破して、タックラーをかわす好走で、トライを加え、ＳＨ高木のゴールで１２―０とリードを広げた。 追う報徳学園は、２３分に、東福岡のＷＴＢ馬田がタッチキックしようとするのを、ＮＯ８石橋が、足もとに好タックルし、こぼれたボールを奪って、ラックから展開し、ＣＴＢ炭竈がトライし、ＳＯ伊藤のゴールで、５点差に迫った。 これで報徳学園の速い攻防が勢いをつけ、展開連続攻撃で攻め立てたが、東福岡は、前へ押し込む攻撃的防御で阻止した。 後半も、立ち上がりは、落ち着きを取り戻した報徳学園ペースで、報徳学園は、１分に、手堅くＰＧを決め、２点差に迫った。 攻め手に苦しんだ東福岡だったが、押し込みの連続からパワープレーで立て直し、１０分に、ラインアウトから、ＳＯ高本が、ゴールへ大きくキックし、出足良く走り勝って、ＣＴＢ西がトライし、高木のゴールで、１９―１０とリードを広げた。 大胆で、スピードに自信のサインプレーを見事に決め、試合の流れを決めた。 東福岡は、前へ前へと意欲的に攻め、攻撃的防御で、報徳学園の展開攻撃をミス多発に追い込んだ。 東福岡は、１８分には、展開して、馬場らのスピーディーで当たり強い突進ラックから、サイドを永井が抜け出し、好パスで上嶋が２つ目のトライを奪い、高木のゴールで、２６―１０とリードして、勝利が見えた。 東福岡は、さらに２３分に、スクラムから、ＮＯ８藤井が突進トライし、報徳学園の防御を切り裂いた。 高木のゴールで、３３―１０と２３点差ものリードに広げて、２７分には高木がＰＧを決めて、東福岡の勝利は確実になった。 東福岡は、仕上げとばかりに、２８分に、ＫＯボールを取って、一気に展開し、石原が抜いて、上嶋が３つ目のトライを奪い、ノーホイッスルトライで圧倒した。 報徳学園は、試合開始早々に速攻トライを奪われて動揺したのか、マイペースに持ち込むのが遅れ、当たり負けで押し込まれて後半は受け身一方になってしまった。 東福岡は、一気に前へ出て、パワーを生かして結束する攻防が、豊かな展開力を引き出し、自在な攻撃を可能にした。 安定した攻防で勝ち抜いてきた報徳学園は、当たり負けで押し込まれ、素早い展開攻撃の足を止められて、完敗した。 高校ラグビーのレベルの高さを証明する決戦だったが、攻撃的姿勢の堅持が重要なことを教えた。 今大会は５１校が出場したが、ベスト８クラスの有力校に１００人を超える部員が集まる一方で、全国的な部員不足が深刻になった。 部員不足で代表決定戦もままならない地域が増えて、勿来工（福島）、倉吉東（鳥取）の２校は不戦勝で出場権を獲得し、石見智翠館（島根）は合同（出雲、松江高専、平田）チームに１００点ゲーム大勝の出場だった。 とりわけ、公立高の部や部員減少が顕著だ。 全国的な格差是正と部員増加に向け、日本協会あげての対策が急務である。 新型コロナウイルス感染症からの脱却が見えてきたが、日本ラグビーの基盤が危うい状態にあることを忘れてはなるまい。 ２０２３年１月７日記 ※なお、筆者は、昨年、半年間にわたり、膀胱がんの克服に務め、回復に向かっているため、２０２３年初頭から復帰しました。引き続き大野晃のラグビー通信とＦＳＪ通信を、お楽しみ下さい。 |
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