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大野晃のラグビー通信 |
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第２３５号 ２０２１年１月９日 |
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◇桐蔭学園が高校日本一２連覇◇ ラグビーの２０２０年度第１００回全国高校大会決勝は、２０２１年１月９日、東大阪市の花園ラグビー場で、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止策による無観客試合で争い、桐蔭学園（神奈川）が、３２―１５の１７点差をつけて京都成章（京都）に快勝し、２年連続３回目の優勝を飾った。 桐蔭学園は、第８９回から第９１回まで３連覇した東福岡（福岡）に続き、史上９校目の連覇達成だった。 前半は、パワフルな速い結束突進と重い防御圧力の桐蔭学園に対し、速い展開、素早い防御の京都成章が１トライずつ取り合って、１０―１０の同点だったが、後半は、桐蔭学園がパワフルな圧力で、京都成章の攻撃の手をしばり、ミスを見逃さない速い攻撃を連続して３トライを奪い、終了目前に意地のトライを奪った京都成章を、余裕を持って押し切った。 新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止策で、春の第２１回全国選抜大会、夏の第７回全国７人制大会は中止され、第１００回全国大会も全試合無観客で行われ、桐蔭学園が２０２０年度の唯一の高校日本一となった。 京都成章は、初の準優勝にとどまった。 桐蔭学園は、準決勝で、大阪朝鮮（大阪）に４０―１２で圧勝し、３年連続８回目の決勝進出を果たしていた。 京都成章は、準決勝で、東福岡に２４―２１で３点差勝利し、初の決勝進出で、初優勝を目指していた。 両校の決勝対戦は初めてだが、全国高校大会を通じては、２０１７年度第９７回準々決勝で、桐蔭学園が３６―１４で勝っており、３年ぶり２回目の対戦で、桐蔭学園が２勝０敗とした。 関東・近畿の決勝戦は、２０１９年度第９９回の桐蔭学園２３―１４御所実以来、２年連続５回目で、関東の４勝１敗。 桐蔭学園が、パワフルな防御圧力で、京都成章の速い攻撃のミスを誘い、確実な展開から抜け出すと、一気の結束突進で圧倒した。 前半立ち上がりは、京都成章の速い展開、速い結束が、桐蔭学園を振り回し、２分にＦＢ辻野主将が４０㍍のＰＧを決めて、３―０と先行した。 しかし、桐蔭学園は、落ち着いてマイペースの攻防を繰り返し、しだいに京都成章の速い動きを鈍らせ始めた。 ともにキックを使わぬ展開勝負で一進一退ながら、ＦＷ平均体重が１００㌔を上回る桐蔭学園のパワフルな圧力が主導権を奪った。 １５分にＰＫタッチキックのラインアウトからサイド突進した京都成章を抑え込んだ桐蔭学園は、京都成章のパスミスしたボールを奪って、ライン際をパワフルにつなぎゴール前へ。 １９分に桐蔭学園は、スクラムで圧力をかけ、ＮＯ８佐藤主将がサイドを突いて、ラックを押し込み、ＬＯ青木が飛び越してゴールに飛び込み、逆転トライを奪った。 ＷＴＢ今野のゴールで７―３とリードした桐蔭学園は、キックで陣地を確保しながら、ラックで圧力をかけ、手堅く攻める。 ２４分に１年生ＦＢ矢崎が抜いて出て、ステップでタックルをかわし、ゴール前に迫ってＰＫを得ると、２６分に、今野が確実にＰＧ 焦らず、じっくり、圧力をかけながら、京都成章の攻め手をしばって、勝利を確実にする狙いだったのだろう。 京都成章は、変幻なパスで大きく振ろうとするが、前に出られない。 それでも、前半終了間際の３０分に連続攻撃でラックから展開し、ＦＬ四宮が突破し、縦につないで、１９３㌢のＬＯ本橋がゴール前へ突進し、ラックからＳＨ宮尾がトライを奪った。 辻野が同点ゴールを決め、ワンチャンスを生かす、見事なスピードつなぎだった。 １０―１０で後半に入ると、深いラインで確実につなぐ桐蔭学園のパワフル突進が威力を発揮した。 ラック、モールでのターンオーバーも多くなった桐蔭学園は、連続攻撃からＳＯ中が突進したラックから珍しくパスミス。 ２分に桐蔭学園のパスミスしたボールを奪った京都成章が一気の逆襲に出たものの、ロングパスをミスし、桐蔭学園は、こぼれたボールをＦＬ粟飯原が奪ってトライした。 前へ出るパワフルな圧力で、ピンチをチャンスに変えた桐蔭学園の相手ミスを見逃さない、したたかなトライだった。 今野のゴールで１７―１０と再びリードした桐蔭学園は、マイペースの試合運びに自信があふれていた。 ＦＷが縦にパワフルに抜け出し、速いつなぎで前進。 ５分にＦＷ突進で縦に抜き、ゴール前への突進ラックから、ＳＨ伊藤の速いパスで青木が突破し、今野がトライして２２―１０と１２点差にリードを広げた。 キックも使い、ゴールへ押し込み、佐藤の突進などから押し込みを連続したが、無理とわかると、１１分に今野がＰＧを決め２５―１０と１５点差リードに広げて、勝利が見えた。 重い圧力を受けた京都成章は、速い動きや大きいパスで桐蔭学園の防御のスキを突くしかなかったが、不安定な速い動きは、ミスにつながりやすい。 １８分には、京都成章がパスキックを使って、速いつなぎで突破を狙うが、パスミスとなって、ボールを奪った桐蔭学園の逆襲を受け、桐蔭学園は、速いつなぎから、伊藤がトライを加えた。 今野のゴールで３２―１０と２２点差リードで、勝利を確実にした桐蔭学園は、ラックやモールでのターンオーバーで攻め続ける。 それでも京都成章は、粘り強く反撃して、３０分に、逆襲つなぎから本橋が意地のトライを奪ったが、桐蔭学園は、揺るがず圧倒した。 桐蔭学園の藤原秀之監督は、「彼らは、日に日に大きくなった」とメンバーを讃えた。 神奈川県代表決定戦は、１９―１７の２点差で東海大相模に辛勝し、波に乗れなかったが、全国大会では、メンバーで相手の特徴を徹底分析しながら、戦術に変化をつけて、確実に勝利を重ねた。 前回優勝の経験は大きく、防御圧力で追いつめて、一気に攻撃に移る攻撃的防御の姿勢が浸透していた。 この試合でも、京都成章の突破口である本橋やゲームメーカーの辻野の自在な動きを封じる防御を見せ、大型ＦＷを擁する利点を生かし切った。 素早い防御と結束、速い展開で動き続けた京都成章の攻防もレベルは高かった。 新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止策などで部活動が制限され、練習不足が否めず、今大会は、全国的な実力接近が見られたが、決勝に進んだ両校の意欲と工夫は、スピーディーな試合展開につながり、個人能力や組織プレーのレベルアップを実感させた。 無観客試合でも、ひたむきにプレーした高校ラガーメンに、改めて拍手を送りたい。 ２０２１年１月９日記 |
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