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◇安心、安全な準備を忘れずに◇
チームつくりの夏を迎えた。
新体制、新陣容で動き出した各層のチームは本格的なチーム練習に取りかかっている。
新型コロナウイルス感染症の感染拡大対策で、さまざまな制約を受けていたが、政府が全面解除に突っ走る中で、コンタクトプレーを含む総合的な練習に乗り出す条件が生まれた。
とはいえ、東京を中心に首都圏や大阪で、自粛解除後に感染確認が急増して、解除以前に逆戻りしたような生活不安が高まり、悩み多き本格化となった。
プロ野球やサッカーＪリーグでは観客数を制限しながらも、開幕、再開が相次ぎ、プロ競技が正常化へ突き進んでいるが、感染再拡大は競技者や観客に不安を生み、喜んでばかりはいられないようだ。
自粛要請解除後は、政府や自治体が積極的な感染対策を示さず、放置していたことで、国民の不安を募らせ、スポーツ再開の混迷に拍車をかけたのは間違いない。
密閉、密集、密接の回避や人と人とに距離を置く感染拡大対策の原則は解除されたわけではないから、チームつくりは難題を抱えている。
競技者の安心、安全を第一に、チーム練習方法に細心の注意が必要で、知恵と工夫を絞り出すしかない。
ランニングプレーを軸に、すべてのプレーのスピード化を目指しているから、スピード豊かな新しい日本ラグビーの創出を期待したい。
世界ラグビーで、いち早く公式戦が再開された南半球では、スーパーラグビーのニュージーランド国内リーグに続いて、豪州でも、観客数を制限しながら国内リーグが始まっている。
しかし、豪州では感染再拡大が目立ち始め、冬に入って不安も広がり出した。
それでも、延期された東京五輪を目指す７人制男子日本代表候補の練習が始まり、関西大学は１０月からの試合開始が決まった。
秋本番の試合日程など新シーズンの開幕調整が急がれている。
来年１月からのトップリーグ開始に向けて、各チームの新体制や新戦力の発表などが相次いだ。
出入国規制が解除される見通しが立たないものの、昨年の第９回ワールドカップで活躍した有力代表から、新たにトップリーグに参加する大物新人が話題になっている。
最大の人気になりそうなのが、３位に終わったとはいえ実力世界一と見られていたニュージーランド代表を操ってきたＦＢ・ＳＯのボーデン・バレットだろう。
サントリーへの加入で、鮮やかなパス、キック、ランを披露し、高度なスピードプレーで日本ラグビーの飛躍を促しそうだ。
日本代表に敗れて決勝トーナメント進出を逃したスコットランド代表の闘将ＳＨグレイグ・レイドローがＮＴＴコムに入る。
強気の速いパス回し、確実なキック、そして揺るがぬリーダーぶりで日本ファンを魅了した３４歳のベテランが観衆の心を揺さぶるはずだ。
準優勝したイングランド代表ＦＷの大黒柱ＬＯジョージ・クルーズがパナソニックへ入り、パナソニックには４位のウェールズ代表バックスをリードしたＣＴＢハドレー・パークスも加わる。
王者・南アフリカ代表の得点源だったＷＴＢマカゾレ・マピンピはＮＴＴドコモで大暴れの構えだ。
日本を去った大物は多いが、魅力的な新スターが出番を待つ。
高校は、年末に１００回目の記念大会を迎える。従来の各都道府県代表５１校（大阪は３、北海道、東京各２）に加え、これまでの予選参加実数の多かった愛知、埼玉、福岡が各１校増え、全国９ブロックの代表と合わせて計６３校が出場する。
短期のチームつくりを余儀なくされているが、大舞台を経験できる好機に、高校ラガーメンの、はやる気持ちが伝わる。
自覚的に、きちんと鍛錬を積むことが夢の実現につながる。
豪雨災害で大荒れの梅雨が明けると熱中症の危険をともなう猛暑が待ち受ける。
焦りは禁物で、安心、安全な準備を忘れてはなるまい。
２０２０年７月１４日記
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