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◇質の高い試合で熱気の継続を◇
１７回目のトップリーグが開幕。
全国６会場での開幕戦８試合の総観客数が９万人を超え、ワールドカップ（Ｗ杯）開催の熱気が継続した。
高校、大学に続き、いよいよトップの争いに、Ｗ杯での日本ラグビーの躍進が、どう反映されるか注目される。
リーグ２連覇を目指す神戸製鋼が圧勝で好スタートを切り、王座復帰を狙うパナソニックも快勝発進。
サントリーは退場処分者を出し、１４人で５０分間を闘って、巻き返しを期す東芝に敗れた。
ヤマハ発動機はトヨタ自動車と大接戦で２点差勝利。
王座争いは激しさを増しそうだ。
Ｗ杯で力をつけた日本代表メンバーに加え、南アフリカ、ニュージーランド、豪州の各Ｗ杯代表計１６人が開幕戦から登場し、パワー、スピード、高度な技術を見せて、質の高い試合を演出した。
今回のリーグには２３１人の外国出身者が参加し、最多の８７人がニュージーランド出身。
３８人の南アフリカ出身や３７人のトンガ出身、豪州出身も３０人を数える。
５２人の各国代表経験者が顔をそろえ、ニュージーランド代表経験者が１４人、豪州代表経験者１０人、南アフリカ代表経験者９人と実力派がひしめく。
外国出身でも、日本国籍取得は３２人に及び、４６人は日本の大学で活躍し、１２人が高校から日本で育った。
１６チーム総当たりで、５月までの長いリーグ戦は波乱含みだ。
先立つ全国大学選手権決勝は、新設の国立競技場を舞台に、新競技場体験の期待もあっただろうが、２３年ぶりの早明決戦に５万７０００人を超える観衆が集まった。
ところが決戦は、前半４トライを奪って無失点の早大が、後半５トライで追い上げた明大を、２トライを加えて振り切る大味な試合だった。
前回、２２年ぶりに優勝した明大に続いて、早大が１１年ぶりに王座に就き、早明時代の復活を思わせたが試合内容は重い課題を突きつけた。
日本ラグビーが飛躍した攻撃的防御とは、かけ離れた防御力しか大学では育っていない現実を露呈した。
明大は、関東対抗戦で、前へ前へと攻めかけながら、前進的防御を見せていたが、日本一をかけた決戦では、その姿を消してしまった。
早大は、素早く前に詰める防御で好機を作り出しながら、勢いよくスキを突かれると、もろかった。
個人防御力が鍛え込まれていないから、勢いしだいで、トライを取ったり取られたりの試合になってしまったのだろう。
Ｗ杯へ向かう日本代表の努力が、大学には反映していなかった。
一方、高校大会決勝は、素早く前へ詰めて、粘り強い防御が光る緊迫した好試合だった。
９年ぶり２回目で、初の単独優勝を成しとげた桐蔭学園（神奈川）は前半、ミスから２トライを奪われながら、後半は結束よくボールを保持し続けて３トライし、逆転勝ちした。
個人能力が高く、パワー、スピードに富んでいたが、結束して好機を作ることを意識し、一体の攻めにスキがなかった。
敗れたとはいえ、御所実（奈良）は、ミスを見逃さずに得意の結束したモールや一気の速攻で先手を取り、前に出続ける防御に勢いがあった。
両校ともに、失点の少ない確実な試合ぶりで頂点目指して勝ち進んでいた。
個人能力を高めて、組織的な攻防に結実させる意欲にあふれ、Ｗ杯が大きな刺激になっていたようだ。
個人能力を鍛え込むことが高校までの大きな課題だが、その努力を欠いては、高校大会を制することはできないことを示している。
準々決勝４試合の総観客数が３万人に近く、人気も高まった。
不断の努力で緊迫した試合を積む高校生が、大学に進むと、総合的に個人能力を鍛え込まなくなってしまうのは、なぜなのか。
Ｗ杯での日本ラグビーの躍進を一過性で終わらせないためには、各層での質の高い鍛錬が不可欠である。
日本協会全体が、Ｗ杯での日本ラグビーをきちんと総括して、次の目標を明確化することが必要だろう。
２０２０年１月１５日記
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