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◇南北対決を制すのは攻撃力◇
第９回ワールドカップ（Ｗ杯）は、２６日から、王座争いの佳境に入り、準決勝が争われる。
前回は南半球勢が独占したベスト４は、南半球、北半球の分け合いで、２回ぶり７回目だが、ニュージーランド代表、イングランド代表、ウェールズ代表、南アフリカ代表の顔ぶれは、初めてである。
２６日午後５時から横浜国際総合競技場での準決勝第１試合で、３回連続４回目の優勝を目指すニュージーランド代表と４回ぶり２回目の優勝狙う母国・イングランド代表の南北の両雄が対決する。
実力から見て、事実上の決勝と思われ、試合内容は、世界ラグビーの方向性を示すことになる重要な争いである。
これまでは、ニュージーランド代表の６連勝で、３３勝１分け７敗。
昨年１１月１０日・ロンドンで、ニュージーランド代表が１６―１５の１点差でイングランド代表を破った。
この試合、前半３９分までは、イングランド代表がスクラム、モールを押し込むなどＦＷ力で圧倒し、１５―０とリードしたが、ニュージーランド代表は、展開して、ＳＯのＢ・バレットの好リードでバックスがトライし、ゴール。
４０分にＢ・バレットがＰＧして、１０―１５の５点差に迫り、後半６分にＢ・バレットがＤＧし、２０分にＢ・バレットが逆転ＰＧして押し切った。
Ｗ杯でも、ニュージーランド代表の３勝０敗で、１９９９年第４回一次リーグ以来、２０年・５回ぶり４回目の対戦となる。
ニュージーランド代表の分がいいとはいえ、
実力伯仲で、イングランド代表は、北半球勢の巻き返しの象徴的存在だ。
多彩な攻撃力を爆発させ、準々決勝まで、強さ、速さを見せつけて、３連覇へ向けて走ってきたニュージーランド代表は、準々決勝では、強固な防御も披露し、スキがない。
イングランド代表は、着実な試合運びで、ＦＷが威力を見せながら、これまた穴のない防御で、安定した勝ちを続けた。
ニュージーランド代表以上に、展開力に富んだＦＷで、スピーディーな突進と、つなぎで、俊足のバックスを走らせる。
焦点は、ニュージーランド代表の大黒柱Ｂ・バレットが自在に走れるか、にある。
イングランド代表は、ＦＷが強力に圧力をかけることに専念するだろう。
イングランド代表が、激しい突進と堅い防御のボール奪取戦で、ＦＷが優位に立つと、Ｂ・バレットの動きは狭められる。
瞬時の突破やファレルのキックで、Ｂ・バレットを防御主体に追いやれば、イングランド代表ペースである。
しかし、ニュージーランド代表ＦＷが押し込むようだと、ダブルＳＯの多彩なスピード全員攻撃に火がついて、堅い防御のイングランド代表といえども、後手に回されることになる。
ニュージーランド代表に勢いがあるとはいえ、イングランド代表の抜け目のない勝負強さは、形勢逆転につながり、北半球勢の意気込みを見せるだろう。
互いの堅い防御を、どう崩すか、多彩な攻撃力が試される試合となり、世界ラグビー発展のカギを示すだろう。
２７日午後６時からは、同競技場での準決勝第２試合で、初優勝目指すウェールズ代表と３回ぶり３回目の優勝狙う南アフリカ代表のパワー対決だ。
準々決勝で、フランス代表に大苦戦したウェールズ代表だが、底力は、今春の欧州６カ国対抗戦で全勝優勝した、すご味を備えている。
これまでは、ウェールズ代表の４連勝で、６勝１分け２８敗。
昨年１１月２４日・カーディフでウェールズ代表が２０―１１で南アフリカ代表を破っている。
この試合、前半、ウェールズ代表が２トライし、好防御で１４―３とリードしたが、後半は、南アフリカ代表が１トライ、１ＰＧで１１―１４と３点差に迫ったもののも、反則多発で、ＳＯビガーが２ＰＧして、ウェールズ代表が押し切った。
Ｗ杯では、前回の準々決勝で、パワー攻めの南アフリカ代表が、ウェールズ代表の好防御に攻めあぐんだが、後半３４分に、スクラムを押し込んで逆転トライし、２３―１９の４点差でウェールズ代表を破って、２勝０敗。
しかし、その後、ウェールズ代表は、南アフリカ代表に、２０１６年に１勝、２０１７年に１勝、２０１８年に２勝した。
Ｗ杯では、３回連続３回目の因縁の対戦である。
ＦＷ自慢の両代表の激烈なパワー対決が、試合を彩るだろう。
ともに、ＦＷが優位に立って、キックからのラッシュ、展開連続攻撃に威力を見せてきた。
ともに、防御に大きな崩れはない。
ウェールズ代表ＳＯビガーと南アフリカ代表ＳＯポラードのキックのけり合いが多くなりそうだが、それを受けた対応が重要になり、ともにゴールキックは確実だから、密集の反則が響く。
接戦に強いウェールズ代表が、南アフリカ代表のパワー攻めをしのぎ切れるかが焦点になるだろう。
１１月２日午後６時から同競技場での決勝に進むのは、どこか。
南半球と北半球の伝統が真っ向からぶつかる興味深い争いである。
前回準優勝の豪州代表は、イングランド代表に抑え込まれ、４位のアルゼンチン代表は、一次リーグでイングランド代表とフランス代表に敗れて決勝トーナメント進出を逃した。
アイルランド代表は、ニュージーランド代表に圧倒されて、７回目の挑戦もベスト４の壁を破れなかった。
北半球勢が巻き返してきたのは確かだが、頂上を奪った時、南半球優位の世界ラグビー地図は、塗り替わる。
２０１９年１０月２４日記
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