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◇攻撃力が試される日本代表◇
第９回ワールドカップ（Ｗ杯）一次リーグは、前半戦を終わって、決勝トーナメント目指す正念場の争いを迎える。
アイルランド代表に奇跡的勝利して、世界ラグビー機構（ＷＲ）の世界ランキングで初めて８位に上がった日本代表は、一次リーグＡ組で、５日に愛知県豊田市の豊田スタジアムでサモア代表と争い、１３日に横浜国際総合競技場でスコットランド代表との決戦である。
スコットランド代表とサモア代表の闘いは、後半、サモア代表の反則防御で、スコットランド代表が２つの認定トライを奪って圧勝する異例の形だった。
しかし、この試合で２度のシンビンとなり、退場を宣告されたサモア代表ＷＴＢフィドウに対する処分では、試合の流れの中での反則と、悪質でない反則と判定されて、出場停止処分を科されなかった。
サモア代表は、ロシア代表との試合で、ＣＴＢリーロとＰＲマトゥの主力２人がシンビンとなり、一次リーグの出場停止処分を受けていたが、激しいプレーがレフリーに先入観を与えていたのかもしれない。
サモア代表のスコットランド代表との試合を見ていると、パワフルな防御力に目を見張るものがあった。
多彩な攻撃力に自信を持つスコットランド代表が、正攻法の展開攻撃で突破できず、キックパスと、一瞬のサモア代表防御のスキを突いたトライで優位に立ったことが象徴的だった。
スコットランド代表のしぶとさ、うまさが勝っていたとはいえ、サモア代表の防御の強さは、あなどれない。
日本代表が、決勝トーナメント進出を確かなものにするには、サモア代表から４トライ以上を奪って、勝ち点５を獲得する勝利が必要だが、これまでの一次リーグの試合で、仕掛けて取るトライは多くはない。
攻撃的防御で、相手のペースを崩し、一瞬の防御のスキを突いて、素早くボールをつないでトライを奪うパターンが得意だが、相手のミスを期待するところがある。
カギは、力をつけたスクラムで優位に立ち、サモア代表防御の足を鈍らせることだろう。
スコットランド代表も苦戦していたが、十分、圧力をかけるまで、我慢しながら攻め続け、優位に立った時点で、集中してトライ・チャンスを作っていた。
スコットランド代表の試合展開は、よい参考になったはずだ。
先手先手と攻め続け、素早い防御を徹底すれば、抑え込むことは可能で、速い展開連続攻撃でトライ・チャンスが多くなる。
スコットランド代表の攻撃は多彩で、ＦＷの結束も良い。
アイルランド代表には、パワー攻めで先手を取られて、試合の流れを変えられなかったが、それを教訓に、先手必勝の構えを整えてきた。
接戦での、しぶとさは、よみがえっている。
日本代表には、アイルランド代表を追いつめた積極的な攻撃性の堅持が不可欠だ。
一次リーグＢ組では、３連覇狙うニュージーランド代表の攻撃力の高さが際立つ。
走るオールブラックスは、カナダ代表との争いで、いかんなく発揮され、ＦＷ、バックスにかかわりなくスピーディーで、状況判断も速い。
しかも、強力スクラム、ラックなどパワープレーも豊かだ。
南アフリカ代表は、パワーを爆発させ、堅い防御は揺るぎない。
一次リーグＣ組では、イングランド代表が、つなぎミスがやや多いが、総合力で堅実に勝ちを重ねた。
フランス代表が、初戦でアルゼンチン代表に逆転勝ちして、展開、キックにうまさを見せ、復活してきた。
逆に、アルゼンチン代表は、パワーＦＷが威力を発揮しながら、展開力が生かされず、波に乗れない。
一次リーグＤ組で、ウェールズ代表の試合巧者ぶりが目を引く。
豪州代表との争いでは、キックを使って先手を取ると抜け目なく得点を重ね、好防御で豪州代表の猛反撃を抑え切った。
豪州代表の攻撃力は確かだが、ミスが多く、勢いに乗るのが遅れがちで、総合力が存分に発揮されてはいない。
フィジー代表が、初戦の豪州代表との闘いで、ラフプレー反則から逆転負けしたことが響き、５トライを奪いながら、３トライのウルグアイ代表にかわされて敗れる波乱だった。
各組の上位争いは、ニュージーランド代表をのぞいて、キックパスを使ったトライパターンと堅い防御が全盛で、スピード感はあるが、ランプレーによるダイナミズムに乏しく、もの足りない。
後半戦では、思い切りのよいランプレーの連続する緊迫した試合を期待したい。
２０１９年１０月３日記
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