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◇防御と結束に集中するタフさを◇
サンウルブズが史上初めて零封負けし、さらに、その２戦後にも零封負けを重ねた。
相手は、スーパーラグビー終盤に向かってチーム力を上げてきており、ワールドカップが近づいて代表入りを目指して個人能力を高めているだけに、厳しい試合が続きそうだ。
鍛えた力を十分に発揮しないと太刀打ちできない。
サンウルブズの最初の零封負けは、日本に戻っての２戦目の第１０戦で、ニュージーランドの強豪ハイランダーズに、防御の緩みを修正できず８トライをたたみかけられた。
スクラムを押し込まれ、ラインアウトを支配されて、ハイランダーズの自在な攻めを許し、オフロードパスを駆使したスピーディーなつなぎやパスキックに防御がついていけず、反撃機すら作れず敗れた。
相手本拠地に乗り込んでの第１２戦でも、豪州の強豪ブランビーズに、スクラムを押し込まれるなどセットプレーを支配され、密集で受け身となり、スピードで圧倒されて５トライを奪われ、堅い防御を崩せず抑え込まれた。
パワーモールには耐えたが、ファーストタックルが遅れて攻撃的防御ができず、ミスも多かった。
第９戦では、ニュージーランドの強豪ハリケーンズに、前半は攻撃的防御を徹底し、セットプレーも互角以上の健闘で、ＷＴＢセミシ・マシレワが２トライするなど２３―１０と１３点差リードしながら、後半はスクラムを押し込まれ、攻撃的防御が緩んで、キックパスなどから突破され、３トライを奪われて逆転負けした。
第１１戦は相手本拠地に乗り込んで豪州の強豪レッズに、前半はスクラムからの連続攻撃によるトライなどで１３―８とリードしながらシンビンで勢いに乗れず、後半はシーソーゲームとなったものの、反則続出でマシレワが２枚目のイエローカードで退場となり、残り３０分間は１４人で闘うはめとなった。
さらに２人のシンビンで１２人に追いつめられたこともあって、パワーで押し込まれ、逆転負けした。
積み重ねがウソのような零封負けはじめ、サンウルブズの連敗に共通していたのは、攻撃的防御を最後まで徹底できずに、パワーで押され始めるとセットプレーで受け身となり、相手のスピードプレーに防御がついていけないことだった。
鍛えてきたはずの攻防が崩れると結束の乱れを生み、反則も多くなる。
圧倒されて建て直しの修正もできない自滅的な負けパターンだった。
防御や結束の緩みは、精神的なタフさを欠く弱さである。
強豪相手には一瞬のスキも許されない。
日本代表候補のウルフパックは強化試合第４戦で秩父宮に１万人を超えるファンを集め、スーパーラグビーチームに次ぐ豪州のウェスタン・フォースに快勝したものの、強化という点では道半ばを感じさせた。
前半こそ相手ミスを突いてスピーディーにトライを重ねたが、防御では、防御ラインの整備は以前より速くなったが、一瞬、相手の動きを見てしまうところがあって、ファーストタックルに素早く差し込む鋭さがなく、結束しての押し込みも遅くなり、攻撃的防御になっていなかった。
これで素早いつなぎで２連続トライを奪われた。
３０―１０と２０点差もリードしながら、仕掛けた攻撃でのトライは奪えなかった。
後半もＳＯ松田力也のゴロキック突破などで２トライを加え、３４点差リードに広げながら、防御の鈍さが消えず、１６分から突破されて３連続トライを奪われ、１３点差に追い上げられ、冷やりとさせられた。
ゲームの組み立てやミスを突く一気の攻撃、確実なパスプレーに成長が見られたとはいえ、肝心の攻撃的防御に鋭さを欠いては、地力にまさる相手には互角の争いを挑めない。
強化試合第５戦では９トライを奪って圧勝し、攻撃の精度は高まっているようだが、セットプレーの強さと攻撃的防御の徹底は、いまだ日本代表の大きな課題である。
それを意識し続けて、タフなチームに生まれ変わらねばなるまい。
２０１９年５月１３日記
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