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◇接戦制した意欲と自信◇
サントリーが２年連続の日本一に輝いて、ワールドカップを２年後に控えたシーズンは幕を降ろした。
サントリーは、日本選手権で８回目、トップリーグで５回目の優勝だった。
充実した実力で王座復帰を目前にしていたパナソニックは接戦で敗れ、２年連続４回目、６季ぶり６回目の準優勝にとどまった。
最高峰だけでなく、大学、高校のフィナーレも接戦の好試合で、各層の向上ぶりを裏書きした。
トップリーグ優勝戦を兼ねた日本選手権の決勝では、サントリーの好機を生かす意欲的な攻撃姿勢と攻撃的防御を徹底する自信が、試合巧者のパナソニックを抑え込んだ。
サントリーが奪った前半の２トライは、スピーディーな突進押し込みの連続でパナソニックの堅い防御をこじ開け、ＳＯギタウの意欲的な判断で縦に強いバックスがゴールを割ったものだった。
パナソニックの防御にミスはなかったが、緩みがあった。
意欲に押された結果だろう。
サントリーの後半の粘り強い攻撃的防御は、前回同様で、自信にあふれて、緩みがなかった。
パナソニックは、カギを握るＦＷの核であるＦＬポーコックとＳＯバーンズを早い段階で欠いて、大胆な修正ができないまま、正攻法で押し切られた。
実力は甲乙つけがたいが、試合の組み立てや流れの支配でサントリーの先手必勝が生きた。
リーグ戦での教訓がバネになったようだ。
ともにスクラム、ラックに強さとうまさを見せ、展開力、スピード豊かな連続攻撃、攻撃的防御の着実さは、日本ラグビーのレベルアップを納得させた。
それでも、瞬時の判断は豪州代表経験者が頼りだった。
日本代表を支える個人能力の総合的な向上は、なお課題であり続ける。
３位決定戦は、ヤマハ発動機がスクラムで圧倒し、力をつけて復活してきたトヨタ自動車を押し切った。
５位決定戦は、ベスト４から転落した神戸製鋼が、巻き返した東芝に快勝して意地を見せた。
７位決定戦は、防御力を高めたリコーが、結束したＮＥＣを後半突き放した。
トップリーグ２強とは差が開いたが、ベスト８に日本一の実績のあるチームがそろい、追い上げが期待される。
全国大学選手権決勝は、関東対抗戦を教訓に明大が総合的な攻撃力を意欲的に発揮して、帝京大の動揺とミスを生み、大接戦だった。
帝京大が後半の２連続トライで１点差の９連覇を成しとげたが、試合の流れの変化をつかんで、意欲的に一気の逆襲に出た帝京大の勝負強さが爆発した。
王座に君臨し続けて身につけた大学カラーとしての自信が底力を生み出していたようだ。
技術的には課題は多かったが、試合に臨む気構えが、大学生にも戻ってきたことが最大の収穫だろう。
思い切りのいいプレーで、はつらつと挑む姿は好勝負を呼び込む。
きちっとした鍛錬を続けることで大学生の潜在力が飛躍する可能性を実感させた。
高校大会は、準決勝、決勝ともに氷雨の悪条件だったが、２強とみられた東福岡（福岡）、桐蔭学園（神奈川）の足元をすくう好防御で勝ち上がった東海大仰星と大阪桐蔭の大阪勢同士の決戦も大接戦となった。
ミスを恐れず意欲的に展開プレーを続けた東海大仰星が、大阪桐蔭のパワーを振り切って逆転勝ちしたが、自信を持つプレーに徹したことで２年ぶり５回目の王座を引き寄せた。
高校生らしく、一途に持ち味を出し合う好試合が興奮を呼んだ。
各層の決勝に共通して、防御力の強化が進んでいることを示した。
しっかりした防御を支えに好機を生み出し、自信の攻撃を意欲的に爆発させる日本ラグビー精神が広く浸透してきた証しだろう。
つないで走り、集中して結束する意識も高まった。
日本代表が世界トップクラスと互角に近い試合を競うようになったことが、全体として意欲的な試合を目指すことにつながっている。
好試合の拡大を予感させる終幕だった。
２０１８年１月１５日記
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