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◇アイルランドが教えた堅実な闘い◇
世界ベスト３に躍進したアイルランド代表に、日本代表は歯が立たなかった。
堅実な闘いを貫いたアイルランド代表はパワー、スピード、プレーの正確さ、試合の組み立てなど、あらゆる点でレベルの違いを見せつけた。
日本代表が、お手本にすべき総合力の高い代表だった。
攻防ともに、アイルランド代表の素早い結束で押しの強いラック支配に、日本代表は速い球出しによる速い展開の攻め手をしばられて、ペースをつかめなかった。
しかも、スクラムやラインアウトから５トライを奪うなどアイルランド代表のセットプレーは強固で、日本代表は耐えて、抑えることに専念せざるを得なかった。
しかも防御にほとんどスキがなく、日本代表のキック策に効果はなかった。キック逆襲で２トライを奪われた。
ボール奪取戦を抑えて、アイルランド代表の攻撃はパワフルでスピーディーに展開され、仕掛けた連続攻撃では２トライを奪うにすぎなかったが、日本代表のミスを誘って３トライを奪うなど、抜け目がなかった。
堅実な攻防を最後まで繰り返して、世界トップの厳しさを示した。
アイルランド代表の闘い方こそ、日本代表が目指すものだろう。
素早い結束でボール奪取戦をリードし、素早く展開して短くつないで突破を狙い、結束つなぎでトライを奪う。
確実に前に出るファーストタックルで押し返し、結束力でボールを奪えば、速い逆襲展開のリズムを生む。
アイルランド代表に対しても、これができて５トライにつながった。
ルーマニア代表に快勝した日本代表は、それができていた。
とはいえ、防御は確実になってきたが、攻撃への切り替えが遅れてペースをつかみ切れない。
セットプレーを攻撃起点にできない。
まして、キックを使った攻防は、試合の主導権を失う結果が多い。
若手が育ってきているが、闘い方が徹底しておらず、厳しい試合を闘い抜く精神的なタフさが足りない。
アイルランド代表は、日本代表に、世界トップと争うには、さらなるパワーやプレースピードの向上が不可欠なことを教えるとともに、キック策を含めた戦術の練り直しとスピーディーに徹底できる習熟の必要性を痛感させたはずだ。
サンウルブズは地元で２勝の２勝１３敗で今季を終わったが、厳しい防御が徹底できず攻撃のリズムを生み出せずに完敗が少なくなかった。
日本代表の弱点につながっている。
アイルランド代表は、ブリティッシュ・アイリッシュ・ライオンズ（英国、アイルランド４協会代表）のニュージーランド遠征に主力１１人が選出されて来日しなかったが、選手層の厚さを示した。
同じ２０１９年第９回ワールドカップ（Ｗ杯）一次リーグで対戦するスコットランド代表も、バックスの軸３人を欠きながらも、２０１５年第８回Ｗ杯準優勝の豪州代表に、５年ぶりに勝利した。
欧州トップの実力アップは著しい。
南半球優位を覆すため、確実なつなぎと防御を意識し、結束力を高めている。
それでも、世界一のニュージーランド代表はテストマッチで１勝１分け１敗と五分の成績を収めた。
さらに代表を多く含むスーパーラグビーのブルーズとハイランダーズが勝利し、ハリケーンズが引き分けた。
第９回Ｗ杯予選のアメリカ第１代表には米国が決まった。
ホーム・アンド・アウェーの２戦で、カナダと引き分けた後、地元でパワフルに圧勝し、６回連続８回目のＷ杯出場となった。
また、イタリア代表、スコットランド代表を迎えて連破し、勢いに乗ったフィジー代表が、パシフィック・ネーションズ・カップで前年との総合成績により、苦戦しながらもオセアニア第１代表となり、６回連続８回目のＷ杯出場。
同第２代表にはトンガ代表が、しぶとく食い込んで７回連続８回目のＷ杯出場を決めた。
３位のサモアが欧州選手権代表とのプレーオフに臨むことになったが、実績などから一次リーグの日本の対戦相手になりそうだ。
オセアニア勢も巻き返している。
２０１７年７月１６日記
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