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◇攻防の素早い結束が好リズムを生む◇
日本代表の新チームが、ルーマニア代表に快勝して好スタートを切った。
アイルランド代表との第１戦はパワーとプレースピードに圧倒されて完敗だったが、最終戦での奮起が期待された。
２０１９年第９回ワールドカップ（Ｗ杯）一次リーグの前哨戦シリーズは、日本代表の課題が明確になり、有意義だった。
Ｗ杯一次リーグで日本代表が対戦する世界ラグビー機構ランク４位のアイルランド代表は、来日第１戦で、２０１５年第８回Ｗ杯代表６人が先発し、２０１７年欧州６カ国対抗代表が控えを含め１３人。
主力１１人を欠くとはいえ、前週、米国代表に９トライを浴びせて大勝し、勝負強さは変わらなかった。
攻防ともに押しの強いラック支配で日本代表の攻撃リズムを奪い、前半、日本代表がＰＲ伊藤のシンビンで１４人の間に３トライをたたみかけた。
後半５分に日本代表のミスを突いてトライを加え３８―３と３５点差リードに広げ、早々と勝利を握った。
後半こそ、縦突進の押し込みなどで食い下がった日本代表だったが、勝負のついた後の１９分から３トライするにとどまった。
アイルランド代表は、前半１１分にスクラムを押し込んでサイドを突破し、一気に先制トライを奪うとマイペースに引き込み、ラインアウトから２トライし、逆襲でトライを加えた。
確実でパワー豊かなセットプレーで日本代表を抑え込んだ。
しかも、縦突進を素早い結束で押し込み、日本代表の突進に対しては素早く抱え込むように押し倒して球出しを遅らせる攻防のラック支配が強力だった。
スピーディーでパワフルな結束力で日本代表を上回った。
タックルが確実だった日本代表だったが、ラックへの結束が遅れ、押し込まれて反則が多くなり、前半２４分のシンビンにつながった。
日本代表がキックで振り回そうとしても、アイルランド代表の防御はスキがなく、ボールを与えてしまい、逆襲されて日本代表は手も足も出なかった。
後半、アイルランド代表がシンビンで１４人となって防御の出足が緩んでから、縦突進押し込みや大きな展開で日本代表の結束力が生きたが、アイルランド代表は逆襲からさらに２トライを加えて、力の差を見せつけた。
日本代表が初勝利するには、スクラムで耐え、さらにプレースピードを上げる必要がある。
攻防の素早い結束を徹底して、互角のボール奪取戦に持ち込めば、攻撃リズムを生み出ことができるはずだ。
ルーマニア代表は第８回Ｗ杯に出場した１０人が先発し、控えに４人。
欧州６カ国対抗勢を除いた欧州選手権で、第８回Ｗ杯でベスト１２に躍進したジョージアを破り、優勝した。
第９回Ｗ杯の欧州予選１位が有力視され、同大会一次リーグで日本代表の対戦が予想される。
日本代表は、前半立ち上がりこそ初戦の緊張からか、動きが鈍く、受け身となって２ＰＧを先行されたが、１２分に大きく展開して、ショートキックを使ったサインプレーでＷＴＢ山田がトライして、逆転するとマイペースに引き込んだ。
前へ前へと突進して、倒されても素早くラックに結束して押し込み、ボールを保持して、短く展開しながらスピーディーな連続攻撃を仕掛け続けた。
防御も、前に詰めてタックル後ラックに素早く結束し、押し込みを阻止して逆襲を狙った。
素早い結束が好リズムを生んでテンポの高い攻撃につながり、前半の２トライ奪取とノートライへの封じ込めをもたらした。
後半、ルーマニア代表がパワー攻めを徹底すると防御疲れが出て２トライされたが、３０分すぎからの猛攻を抑え切って、見事に先手必勝を実現させた。
展開力に乏しかったルーマニア代表だからマイペースを保てたが、より強いパワーと展開力豊かなアイルランド代表には、ボール奪取戦を支配されて攻め手がなくなった。
ともに堅実な欧州型に対しては、結束パワーと確実な基本プレーのさらなる向上が不可欠だ。
２０１７年６月１７日記
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