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◇攻撃的原点帰りのサントリー◇
２０１６年度の第１４回トップリーグは、サントリーが４季ぶり４回目の優勝を、２季ぶり２回目の全勝で成し遂げた。
初優勝目指したヤマハ発動機は、２季ぶり３回目の準優勝にとどまった。
サントリーの１５連勝の経過をたどると、１戦ごとに内容を充実させ新戦力の成長もあって、多彩な攻撃的チームとして復活したことを示している。
３戦まではスクラム強化が実って攻撃を支えたが、攻撃の詰めの甘さや防御のスキが目立った。
しかし、第４戦でパナソニックに対し、前へ前への縦突進の連続やラインアウトからの攻めで６トライを奪い、堅守の相手を突き崩して大きな自信を得た。
第５戦から第１１戦は余裕の逆転勝ちなど、しぶとさも戻り、失点が減って、圧勝が続いた。
第１２戦でトヨタ自動車との競り合いに強さを発揮し、勝負の第１３戦でスクラム自慢のヤマハ発動機を突き上げるスクラムで逆転し、展開力を高めて首位に立ち、第１４戦で東芝に大勝して完成させ、最終戦は自信にあふれる勝利だった。
２０１４年度にベスト４から転落して５位、２０１５年度はベスト８からも転落して９位に低迷したが、一気に頂点に返り咲いた。
低迷期は、闘い方に大きな変化はなかったものの、惰性に流れる精神面で問題を抱えていたらしい。
今季は、躍進の原動力だったＦＬスミスが復帰し、パワーと運動量に富むスピード豊かなＦＷの再建を、スクラム強化からの原点帰りで目指したようだ。
おかげで、攻防ともに攻撃的な姿勢の堅持と意欲的な連続攻撃がよみがえり、防御の甘さが消えるとともに、多彩な攻撃が花開いた。
トップレベルの経験豊富なメンバーがそろうだけに、理詰めの意思統一が進んで、方向性を定めた猛練習が実った結果だろう。
よみがえった強力なＦＷが、攻撃に大きな幅を与え、失点が最も少ない強固な防御のチームに生まれ変わった。
今回のトップリーグは、全体として防御力が高まり、スクラムなどセットプレーの確実さとスピード攻撃の工夫が激突するハイレベルな争いが特徴的だった。
準優勝のヤマハ発動機は、強力なスクラムを支えに、前へ前へと一体で攻めかける迫力に富み、総得点１位と攻撃的だったが、肝心のスクラムでサントリーに押し込まれたのだから痛恨の１敗だったろう。
３位のパナソニックは、両者にスクラムと縦突進で押し込まれ多彩な攻めを封じられた。
しかし、日本選手権進出のトップ３が突出していた。
４位の神戸製鋼は高い総合力を示したが、安定した攻防を徹底できず王座争いに届かなかった。
ＮＴＴコムは展開力を高めてベスト４目前に迫った。
前回準優勝の東芝が初めてトップリーグのベスト４はもちろん、ベスト８からも転落し、９位に沈んだが、パワー突進にかける単調な攻撃が防御力アップのリーグで通用しなかった。
防御も甘くなった。
トヨタ自動車は何とかベスト８にとどまったが、攻撃の工夫が不足していた。
名門・近鉄は３勝しかできずに入れ替え戦に回る落ち込みだったが、リコーは尻上がりに力を出して５季ぶりにベスト８以上に上がった。
防御力アップのたまものだ。
キャノンは後半戦で巻き返し、ベスト８以上を確保した。
下部リーグから昇格したばかりのサニックスが前半戦の健闘で１１位に食い込んだ。
大学は、帝京大が総合力で前人未到の８連覇を達成したが、東海大が強力なスクラムと素早い攻防で健闘して、あと一歩まで迫った。
しかし他大学は防御が甘すぎた。
基本の鍛錬不足が目についた。
高校は、強力なパワーとスピードに富む東福岡が２季ぶり２回目の３冠に輝いたが、連覇を狙った東海大仰星が素早い攻防で対抗するなどベスト４の実力接近を実感させた。
スピーディーでパワフルな攻防が各層で展開され、日本ラグビーの底上げを納得させるシーズンだった。
２０１７年１月１６日記
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