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大野晃のラグビー通信 |
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第１９３号 ２０１５年１１月１４日 |
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◇パナソニックが３連覇へ好発進◇ ラグビーの２０１５年度第１３回トップリーグが、２０１５年１１月１３日、開幕した。 第８回ワールドカップ（Ｗ杯）のため、例年より遅れて、１６チームがＡ、Ｂ各組１回戦の総当たりリーグを争い、順位決定トーナメントで王座を決める。 決勝は、２０１６年１月２４日で、短期決戦の王座争いになる。 王座争いとともに、Ｗ杯で躍進した日本代表の成果を、どう生かし、発展させようとしているかが、焦点である。 さらに、２月からは、日本代表の強化を目的に、南半球のスーパー・ラグビーに、サンウルブズのチーム名で日本代表候補が出場するだけに、個人能力の成長ぶりも注目される。 開幕戦は、東京・秩父宮ラグビー場で、ナイトゲームにより、Ａ組の、３連覇目指すパナソニックと３年ぶりの王座を狙うサントリーのライバルが対決した。 ２年目のディーンズ監督（ニュージーランド出身、元豪州代表ヘッドコーチ）率いるパナソニックは、ＰＲ稲垣、ＨＯ堀江主将、ＮＯ８ホラニＫ、ＳＨ田中、ＷＴＢ山田の日本代表と南アフリカ代表のＣＴＢピーターセンが先発のベスト布陣。 対するフレンド新ヘッドコーチ（豪州出身）率いるサントリーは、ＰＲ畠山、ＬＯ真壁主将、ＮＯ８ツイ、ＣＴＢ小野、ＦＢ松島の日本代表とサモア代表のＳＯピシに、新人ＰＲ森川、ＳＨ流の帝京大出身大学日本一コンビなど新人、若手を加えて、若返りも狙った。 戦力の充実したパナソニックは、前半立ち上がりから、レベルの高い鉄壁の防御と一気の攻撃で４トライを奪い、サントリーを後半の１トライだけに抑えて、３８―５と圧勝し、３連覇へ好スタートを切った。 開幕から、第８回Ｗ杯で活躍した日本代表などの激突となったが、パナソニックは、サントリーの連続突進攻撃を抑え込み、ＳＯバーンズ（元豪州代表）とピーターセンの好リードで、山田が２トライするなど前半を２６―０とリード。 後半も、ピーターセンとＦＬ劉がトライを加え、サントリーをピシの１トライだけに抑え込んで、力の違いを見せつけた。 両チームの日本代表たちは、生き生きと、自信にあふれた力強いプレーで、１万７９２人の観衆をわかせたが、パナソニックの総合力が圧倒した。 両チームの通算対戦成績は、パナソニックの１年ぶり（２戦ぶり）勝利で、２０勝２分け２１敗。 前半立ち上がりから、いきなりバーンズとピーターセンが好パスを連続し、ＷＴＢ北川が突破してゴール前へ迫るなど、パナソニックがスピードで振り回した。 ３分にバーンズがＰＧして先行したパナソニックは、６分にスクラムからゴール前で、スピード展開で揺さぶり、バーンズがゴールへゴロキックして、山田が抑えてトライ。 バーンズのゴールで、あっという間に、１０―０とリード。 勢いよく前に出るサントリーだが、パナソニックの速いパス回しに、防御がついていけなかった。 １１分にバーンズが３９㍍のＰＧを決めたパナソニックは、サントリーが横に短くつなぎながら縦突進を繰り返す連続攻撃をしっかりと抑え込み、１７分にもバーンズが３つ目のＰＧを加えて、１６―０とリードを広げた。 パナソニックのライン防御は、ファーストタックルが鋭く、素早く前へ詰めて、世界トップクラスを思わせる攻撃的な堅固さ。 パナソニックＦＷは、スクラムを押し込み、ラックでは、少人数で、サントリーの多数を巻き込んで、再三のターンオーバー。 ピシや小野が意欲的に突進し、松島も果敢なカウンター攻撃を何度も試みるが、パナソニックの堅守を突き崩せない。 サントリーは、密集での反則が多くなり、つなぎミスも多発。 パナソニックが、抑え込みながら、３３分にバーンズが４つ目のＰＧを４０㍍の位置から決めて１９―０と突き放すと、サントリーは３７分にＰＲ畠山が故意のオフサイドでシンビンとなり１４人のピンチ。 すかさずパナソニックは、３９分にスクラムで圧力をかけて展開し、山田が隅に飛び込んだ。 ＴＶビデオ判定でトライが認められ、山田の２連続トライとバーンズのゴールで、２６―０にまでリードを広げ、前半だけで、パナソニックの勝利が濃厚になった。 後半は、奮起したサントリーがパワーあふれる連続展開突進で挑むが、４分間近い猛攻を抑え切ったパナソニックは、１１分にラックからのこぼれ球を山田が奪って突破し、速いラックからの展開で、バーンズがパスキック。 取ったピーターセンが余裕を持ってトライを加え、３１―０と勝利を決めた。 攻撃的に、前へ出ての防御を徹底するパナソニックは、守りながらもサントリーに圧力をかけ続け、ミスを引き出して、一気の攻めで、好機を確実に得点に結びつけた。 試合運びにも、格の違いを感じさせた。 それでも、サントリーは２０分にＰＫタッチキックのラインアウトからモールは押し込めなかったものの、ツイが突進し、突進ラックの連続から展開して、ピシがトライし、意地を見せた。 パナソニックには、一瞬のスキだったが、立ち直って２７分には、逆襲に出て展開し、劉がトライし、新人の交代ＳＯパーカー（ニュージーランド出身）がゴールを決めて突き放した。 トップリーグの試合が少ないため、今年は、プレシーズンのリーグ戦と順位決定トーナメント戦による公式練習試合が設けられたが、パナソニックは、戦力が整わないとしてトーナメント戦から出場を辞退。 日本代表組が帰国するまで厳しい練習を繰り返したが、防御とスクラムなどを徹底強化した成果が表れた。 もともと防御の強いパナソニックだが、日本代表組を中心に個人能力が高まって、世界トップに近い防御力に成長した。 トップリーグの焦点は、どこがパナソニックの堅守を破れるかに移った。 今年のトップリーグには、第８回Ｗ杯をリードした、準優勝の豪州代表や、３位の南アフリカ代表など多数が、初参加する。 豪州代表は、ＳＯフォーリー（リコー）ら３人。 南アフリカ代表は、ＳＯポラード（ＮＴＴドコモ）、ＦＢルルー（キャノン）、ＬＯエツべス（ＮＴＴドコモ）ら４人。 昨年までトップリーグで活躍していたメンバーを含めると、第８回Ｗ杯の南アフリカ代表は、７人にも達する。 トップリーグ所属の外国出身者は、日本国籍取得者を含め、１３７人を数え、各国代表経験者が６１人と、国際化を示している。 リーグ戦後半から、本格的に、世界トップのプレーが目の当たりにできるだろう。 ２０１５年１１月１４日記 |
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