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大野晃のラグビー通信 |
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第１８９号 ２０１５年１０月２８日 |
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第８回ワールドカップ特集１６ ◇ＮＺ優位のタスマニア決戦◇ ラグビーの第８回ワールドカップ（Ｗ杯）大会は、いよいよ大詰め。 ３１日午後４時（同１１月１日午前１時）から、ロンドン市のトゥイッケナム競技場で、ラグビー世界一をかけて、決勝を争う。 史上初のＷ杯２連覇に王手をかけているニュージーランド代表オールブラックスは、２大会連続４回目の決勝進出で、２大会連続３回目の優勝を目指す。 タスマニア海をはさんだ永年のライバル・豪州代表ワラビーズは、２００３年第５回以来、３大会ぶり４回目の決勝進出で、１９９９年第４回以来の４大会ぶり３回目の優勝を狙う。 両雄の通算対戦成績は、今年の南半球４強国対抗戦ラグビー・チャンピオンシップで豪州代表が４年ぶり（１１戦ぶり）に勝利し、初優勝したが、Ｗ杯直前のウォームアップ試合で、ニュージーランド代表が雪辱し、ニュージーランドの１年ぶり（２戦ぶり）勝利で、１０５勝７分け４２敗。 Ｗ杯決勝での対戦は初めてだが、準決勝で３回対戦し、豪州代表が２勝１敗とリードしている。 準決勝までの闘いぶりは、ともに失点が少ないのは共通しているが、ニュージーランド代表が攻撃的にトライを量産しているのに対し、豪州代表は、競り合いを勝負強くしのいできた。 ニュージーランド代表が、６試合で総得点２５６、獲得トライ３６、総失点８０で、奪われたトライは４。 豪州代表は、６試合で総得点２０５、獲得トライ２６、総失点８４で、奪われたトライは５。 ニュージーランド代表は、一次リーグ初戦の対アルゼンチン戦で苦しみ、準決勝で南アフリカ代表の堅い守りに大苦戦したが、それ以外は、圧勝を続けている。 苦戦してもトライを取り続け、攻撃的な姿勢を貫いてきた。 ＷＴＢのＪ・サヴェアが８トライして、大会トライ王へ走っている。 豪州代表は、一次リーグの対ウェールズ戦でノートライゲームを制し、準々決勝の対スコットランド戦で劇的逆転勝ちするなど、防御の強さで、接戦を勝ち切った。 準決勝でアルゼンチン代表を抑え込んだのも、堅い防御のたまものだ。 タックル決定数が、組織委員会資料で７２６と、堅守の南アフリカ代表を上回って最多を示した。 ＳＯフォリーが１５ＰＧを決め、得点源になっている。 ニュージーランド代表の失点の少なさは、攻撃的姿勢を堅持して、攻め続けて守りに入らない強さを示し、豪州代表は、タックルを徹底して守り切る強さを証明している。 ともに、豊かな攻撃力を持っているが、ニュージーランド代表が多彩に爆発させているのに対し、豪州代表は、ここぞという時に、工夫した攻撃策を成功させている。 印象では、ニュージーランド代表が圧倒しそうだが、しぶとい豪州代表の防御にあって攻めあぐむと、豪州代表の勝負強さが生きてくる。 今年の南半球４強国対抗戦ラグビー・チャンピオンシップでは、それまで、２分けはさむ８連敗中だった豪州代表が、好防御で少差のシーソーゲームに持ち込み、後半３０分すぎに決勝トライを奪って、ニュージーランド代表に快勝した。 ２０１２年にアルゼンチンを加えて南半球４強国対抗戦となって以来、王座に君臨し続けていたニュージーランド代表には屈辱だった。 だから、直後のＷ杯を目指すウォームアップ試合では、ニュージーランド代表がＳＯカーターの好リードで、ＣＴＢノヌが再三、突破し、新鋭ＷＴＢミルナースカッダーの活躍で、後半２３分までに５トライをたたみかけて圧勝した。 ニュージーランド代表ＦＷは、パワーに富んで、スピードもあり、スキがない。 豪州代表ＦＷは、結束が速く、ラックはうまいが、準決勝の対アルゼンチン代表戦でスクラムを押し込まれ、不安材料となった。 ニュージーランド代表は、立ち上がりからＦＷ、バックス一体の高い展開力で圧倒したい。 豪州代表としては少差の競り合いに持ち込みたい。 総合力と大会の闘いぶりから、ニュージーランド代表の優位は動かないが、豪州代表のしぶとさが、波乱を生むかもしれない。 決勝に先立って、３０日午後８時（日本時間３１日午前５時）から、ロンドン市のオリンピック競技場で、南アフリカ代表とアルゼンチン代表による３位決定戦が行われる。 南アフリカ代表は、第４回以来、４大会ぶり２回目の３位を目指す。 アルゼンチン代表は、２大会ぶり２回目の３位を狙う。 今年の南半球４強国対抗戦ラグビー・チャンピオンシップで、アルゼンチン代表が初めて南アフリカ代表を破った。 しかし、Ｗ杯を目指すウォームアップ試合で、地元に南アフリカ代表を迎えながら、南アフリカ代表の堅守に抑え込まれ、雪辱された。 通算対戦成績は、南アフリカの１年ぶり（２戦ぶり）勝利で、１９勝１分け１敗。 Ｗ杯では、２００７年第６回準決勝で南アフリカ代表が３７―１９とアルゼンチン代表を圧倒し、南アフリカの１勝０敗。 その第６回大会で南アフリカ代表は２度目の優勝を飾りアルゼンチン代表は初の３位に躍進した。 準決勝でニュージーランド代表を苦しめた南アフリカ代表の堅守が、アルゼンチン代表の展開ランニング・ラグビーを抑え込めるかどうかが、試合の焦点であり、アルゼンチン代表の攻撃力アップの真価が問われることになる。 ２０１５年１０月２７日記 |
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