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◇日本代表４連敗の教訓◇
日本代表は、第８回ワールドカップ（Ｗ杯）出場代表レベルとの腕試しで４連敗し、Ｗ杯本番目前に苦しい試練の道を歩み続けた。
パシフィック・ネーションズ・カップで、カナダ代表にはスクラムの
強さと堅い防御でノートライに抑え込む好スタートを切った。
しかし、続く米国代表に、本番まで「手の内隠し」の布陣で臨み、スクラムを押し込んで２トライしてリードしながら、後半２７分にモールを押し込まれてトライを奪われ５点差の逆転負け。
フィジー代表にはベストの布陣で臨みながら攻防にミス続出で、前半２０分からの７分間に３連続トライを浴び、終盤相手がシンビンで１３人となったのに攻め切れずに、これまた５点差負け。
シーソーゲームとなったトンガ代表にはスクラムを押し込んでトライしながら密集で反則が多く、連続攻撃で逆転トライされるなど不安定な試合運びで１１点差負けだった。
実力伯仲の相手とのＷ杯本番並みのシビアな試合で、接戦の競り合いはできるが勝ち切れない、基本的な弱さが顔を出した。
そして、スーパーラグビーなどのチームに所属する豪州、ニュージーランド、南アフリカの代表経験者や候補がずらりと並ぶ豪華メンバーの世界選抜に対しては、先制トライしながら、ボール奪取戦で圧倒され、個人技で防御を突き破られて、突き放された。
大敗ではないが、プレー内容には質の違いが感じられた。
４連敗に共通していた弱点は、タックル後のボール奪取戦で速い球出しが徹底できなかったことと、とっさのタックルが甘かったことだ。
さらに攻防の切り替えのスピードが不足し、バックスリー防御には、まだ不安材料が多かった。
スクラムは安定し、押しもある。
世界選抜の技術の高い相手にも押し負けることはほとんどなかった。
ラインアウトも安定してきた。
密集サイドやライン防御は確実で、前へ出る意識も持続した。
逆襲意欲も低くはなかった。
しかも、突破を狙うスピードは豊かだ。
しかし、ラックへの結束スピードで一歩遅れ、球出しの技術が安定感を欠き、組織的な攻防が崩れた時の瞬時のタックルが確実さを欠いた。
組織的な攻防だけでは、接戦を制することはむずかしい。
激しい攻防で、それが崩れた時の個人プレーや個人判断が磨かれないと、良い試合はするが勝てない。
昨シーズンは粗削りな相手に対し、組織的な攻防が安定していて快進撃を続けたが、Ｗ杯年の各代表は、組織的な攻防にプラス・アルファ―を積み上げようと鍛え込んで臨んでいる。
こうなると、ちょっとしたミスが試合の流れを変えてしまう。
一人のミスをカバーできるメンバーの個人能力が求められる。
何が起こるかわからない厳しい試合を勝ち切るむずかしさであり、ベスト１０レベルの力を持つようにはなったが、試合で存分に発揮できていない。
それが４連敗で如実に示された。
ミスや反則が多かったことが象徴的である。
ＷＴＢ藤田をＦＢに、ＣＴＢ松島がＷＴＢに回り、スピードで振り回す布陣をテストするなど攻撃策の多彩さを目指してはいたが、肝心のボール保持が連続しないのでは、ＦＷとの連携が生まれない。
Ｗ杯を目前に足元を見つめる良い機会になったのは間違いない。
代表たちが自信を失ったわけではない。
何を欠いていたか、何をしなければならないかが明確になったはずだ。
世界選抜はＷ杯本番の初戦で南アフリカ代表とどう闘うかのヒントを与えてくれた。
２戦目のスコットランド代表とは試合の主導権を握り続けることが金星のカギになる。
３戦目のサモア代表にはフィジー代表やトンガ代表との試合が教訓として生かせるだろう。
４戦目の米国代表には勝ち切る課題をつかんでいる。
とはいえ、代表の一人一人が自覚的に努力しなければ課題克服はできない。
イメージ豊かに、どこからでも攻める攻撃的意識が重要になる。
２０１５年８月１６日記
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