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大野晃のラグビー通信 |
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号外１７１ ２０１４年２月２０日 |
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※月刊誌ラグビーマガジンに連載中のコラム「楕円球界定点観測」から、２０１４年４月号（２０１４年２月２５日発売）に掲載する原稿を転載致します。 大野 晃 |
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◇レベルアップしたベスト４対決◇
サントリーの３連覇は幻に終わり、パナソニックが３年ぶりにトップリーグの王座に復帰した。 実力差がほとんどないベスト４によるプレーオフは、レベルアップが実感でき、見ごたえがあった。 勝ち抜いたパナソニックは、ＦＷとバックスのバランスが良く、スピーディーで力強かった。 決勝は前半、ＳＯバーンズの鋭い状況判断から、あっさり先制トライを奪ったが、サントリーのパワフルな上手い攻めに逆転されるなど３トライを奪われてリードされた。 それでも、パナソニックは、ラックのボール奪取戦をスピードでリードしていたから、サントリーの反則が多くなった。 バーンズが３ＰＧして着実に加点した。 後半は、リーグ戦でサントリーを圧倒した激しく確実なタックルのスピードを高めた。 バーンズの強気の攻めから、ＷＴＢ山田が２つ目のトライして逆転すると、サントリーの連続攻撃封じ。 サントリーの突破口であるＦＬスミスに対し、ＨＯ堀江主将がお手本となるハードタックルを見せ、ラックの結束の速さでサントリーを抑え込んだ。 サントリーは反則多発。 バーンズの３連続ＰＧでリードを大きく広げ、サントリーの防御ミスを突くトライを加えて、突き放した。 リーグ戦での圧勝で、サントリーの攻防の弱点を突くことに自信を深めていたようだ。 パナソニックのＦＬバツベイ、ＦＬ西原、ＮＯ８ホラニのＦＷ第３列の速い動きが、サントリーを上回った結果だが、ＳＨ田中の強気の攻めもＦＷに勢いをつけた。 こうなれば、元豪州代表・バーンズの個人技がさえる。 サントリーはタックル・ターンオーバーや押しのあるラックから素早い連続攻撃でトライを奪ったが、わずかに出遅れたラックでの反則が痛かった。 ＦＷが圧倒できないと連続攻撃が空回りするもろさも顔を出した。 スミスが自在に動けず、ＳＨデュプレアのパス回しのテンポが落ちると苦しかった。 さらに、防御に一瞬のスキが出る弱点が克服できていなかった。 とはいえ、追われる立場で研究し尽くされるのはやむを得ない。 ＦＷ戦でのわずかな優劣が明暗を分けたが、実力は互角だった。 サントリーに惜しくもかわされた神戸製鋼だが、スピード豊かな展開力と好防御でサントリーの連続攻撃のリズムを奪った。 しかし、つなぎミスなど攻防でのミスが多く、プレー精度に課題を残して、勝負強いサントリーに抑え込まれた。 パナソニックに圧倒された東芝だが、バーンズに振り回され、パナソニックの素早い攻めに対応が遅れて、結束したパワー突進の型が作れなかった。 パナソニックの速い防御に攻撃ミスを重ねたことも響いた。 ベスト４対決は、攻防のスピードがさらに高まり、プレーの確実さが重みを持った。 世界トップクラスに近づくプレーの連続だった。 それでも、キーマンの有力外国出身者が自在に動けるかが、勝敗を左右した。 まだ、日本代表を目指すプレーヤーのほとんどに、試合の流れを動かすほどの個人能力が不足していた。 日本代表が、世界ベスト１０以上になるには、有力外国出身者同士の激突が目立たないようなトップチームの争いが不可欠だ。 トップリーグは１６チーム参加に拡大し、２ステージ制になって、第２ステージのベスト８によるＡ組は力に大きな差のない接戦が続いた。 しかし、初めてベスト８に進出したキャノンとＮＥＣは第１ステージの勢いを継続できなかった。 Ｂ組はクボタと実績のある近鉄、リコーがリードした。 全体として６位までと、７位から12位まで、13位から16位の３段階のレベル差があった。 観客動員は、１万人を超えた試合がパナソニック対サントリーのリーグ戦と決勝の２試合だけ。 １会場平均で前回を６００人以上も下回った。 さらなる工夫が必要だろう。
２０１４年２月１７日記 |
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