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大野晃のラグビー通信 |
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第１６２号 ２０１３年１月２７日 |
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◇サントリーが２年連続の王座◇ ラグビーの２０１２年度第１０回トップリーグ・プレーオフ決勝は２０１３年１月２７日、東京・秩父宮ラグビー場で争われ、リーグ戦全勝１位のサントリーが、１９―３でリーグ戦２位の東芝に完勝し、２年連続３回目の優勝を飾った。 サントリーは、リーグ戦、プレーオフを通じ、１５戦全勝で、全勝優勝は史上初。 東芝は、９年ぶり２回目の準優勝にとどまった。 サントリー・東芝の決勝対決は、６年ぶり２回目で、サントリーがリーグ戦に続いて連勝し、王座に就いた。 サントリーは、前半立ち上がりから積極的に連続攻撃を仕掛け続け、２トライを奪って１２―３とリード。 後半は東芝が大きな展開と強力な縦突進で反撃したが、サントリーが好防御で守り切り、１トライを加え、東芝をノートライに抑え込んで圧倒した。 サントリーは、リーグ戦で１３勝０敗の全勝で２年連続２回目の１位となり、プレーオフ準決勝でリーグ戦４位の神戸製鋼に３８―１９と逆転で圧勝して、３年連続５回目の決勝進出。８強トーナメントを含め３年連続６回目の決勝進出を果たしていた。 サントリーは、全国社会人大会から、大会、リーグプレーオフ、８強トーナメントを含め、３年連続１２回目の決勝進出で、大会、リーグ、８強トーナメントを含め２年連続６回目の優勝となった。 東芝は、リーグ戦では１０勝３敗の２位だったが、プレーオフ準決勝でリーグ戦３位のパナソニックに２０―８で逆転勝ちし、８強トーナメントを含め３年ぶり７回目（過去、優勝５回、準優勝１回）の決勝進出で、３年ぶり８回目の優勝を目指していた。 東芝は、８強トーナメントを含め９年ぶり３回目の準優勝で、全国社会人大会から、大会、トップリーグ、８強トーナメントを含め９年ぶり８回目の準優勝となった。 サントリーと東芝の決勝対決は、８強トーナメントを含め６年ぶり３回目（２００６年度第４回プレーオフ決勝で東芝１４―１３サントリー、東芝２勝０敗）で、プレーオフ全体では２年ぶり４回目の対戦（東芝の２勝１敗）。 全国社会人大会から、大会、リーグプレーオフ、８強トーナメントを含め６年ぶり５回目（２００２年度第５５回全国社会人大会決勝でサントリー３８―２５東芝府中、東芝３勝１敗）の決勝対決。 両チームの東日本リーグ、全国社会人大会、トップリーグ、同８強トーナメント、日本選手権を通じての対戦成績は、サントリーの３連勝で、２１勝２４敗となった。 グラウンドは荒れていたが、風がほとんどなく、展開勝負の好条件。 前半立ち上がりから、サントリーの連続攻撃が火を噴いた。 ＳＨデュプレアのテンポの高いパス回しで、ＳＯ小野が意欲的に前に出て、横の展開と縦突進の組み合わせに変化が生まれ、東芝は防戦一方に追いやられた。 サントリーは、意識的に広く展開して、ＣＴＢニコラスの突破、そしてＦＬスミスの突進からの攻撃を繰り返す。 東芝もラックで再三、ターンオーバーするなど負けていなかったが、サントリーにゲインを超えられることが多く、押され気味で、ターンオーバーしてもＳＯヒルが逃げのキックをミスするなど盛り返せない。 ７分に、サントリーが縦突進を連続してゴールに飛び込んだが、東芝は懸命に守って、スクラムからの反撃を狙う。 ところが、そのスクラムから東芝は痛恨のつなぎミス。 サントリーの投げ入れるスクラムとなって、東芝はアーリーエンゲージでダブルミス。 ＦＫを得て、デュプレアが一気の速攻突進し、これをＦＷがモールを作って押し込み、東芝防御に圧力をかけ、８分に、展開してスミスが突進し、大きく振ってＷＴＢ村田大が先制トライした。 押し込まれてゴールを背負った東芝のミスを見逃さないスピーディーな連続攻撃だった。 奮起した東芝は、デュプレアのパスをヒルがカットするなど、前へ出て反撃し、１８分にヒルがＰＧを決めて２点差に迫った。 東芝も大きな展開から、キックを使って、サントリーの弱点であるバックスリー防御を揺さぶると、サントリーは手痛い反則が多くなった。 ２３分には、ＰＫタッチキックのラインアウトから東芝が得意のモールラッシュ。 ゴールに飛び込んだが、導入されたテレビ判定でノートライとなった。 疑問を抱かせたのは、このあとの平林泰三レフリーの判定だ。 サントリーはゴール前スクラムを押し込まれ、崩して反則。 ＰＫを得た東芝が、さらにゴール前でスクラムを選択して押し込むとサントリーは、またも反則。 この時点で、東芝の認定トライを認めるべきではなかったか。 東芝が２度目のスクラム選択で、アーリーエンゲージと判定され、サントリーは窮地を脱した。 以後、スクラムの組み方や判定で、両チームに悩みがうかがえた。 サントリーは、３４分に連続攻撃からの突進ラックで圧力をかけて、小野がゴール前へパスキックし、取った村田大が２つ目のトライを奪った。 ニコラスのゴールで、サントリーが１２―３とリード。 東芝は、３８分にヒルが３９㍍のＰＧをミスして差を詰められない。 後半は、東芝のラックへの出足が鋭くなり、サントリーが押され気味となって反則が増えた。 ２分には、村田大が反則の繰り返しでシンビンとなり、サントリーは１４人のピンチ。しかし、ここからサントリーの見事な防御が飛び出した。 前半もラインアウトで東芝にしっかりキャッチさせない工夫が見られたが、３分に東芝がＰＫタッチキックのラインアウトから得意のモールを押し込もうとするが、サントリーの防御は堅く、割られて落球。 得意技で、東芝はトライが奪えない。 東芝のＮＯ８豊田主将は「サントリーさんに、ラインアウトでモールを組みやすい位置でのボールキャッチをさせてもらえなかった」と悔やんだ。 サントリーのＬＯ真壁主将は「低い姿勢で下から押し上げ、モールを割ることを狙った」と自信をうかがわせた。 相手がキャッチする位置をズラし、低く対抗して割って出る。サントリーの研究心が上回って、東芝は攻め手が封じられた。 さらに、人数の有利さで大きな展開で振り切ろうとする東芝バックスだが、縦突進に変えると、サントリーは厳しいファーストタックルで倒し切る。 東芝は、ボール保持者の縦突進を、２人、３人がサポートして、ミニモールのような小集団結束パワーで押し込み突破することに威力があるのだが、ファーストタックルで第一線がつぶされては突破口が開けない。 モールが押せない、縦に抜けないとあって、パワーで圧倒しながらも一進一退。 東芝はＳＨに吉田朋を入れて活路を見出そうとしたが、サントリーに逆襲され、１５対１４の人数有利の条件を生かせなかった。 １３分には切り札ＦＬリーチを投入して、局面一新を図った東芝だが、ＰＫタッチキックのラインアウトからモールを押し込めず、展開してもミスが出る。 ところが２１分にデュプレアが故意のオフサイドでシンビンとなり、再びサントリーは１４人のピンチ。 サントリーはＳＨ日和佐、ＳＯピシに入れ替えるタイミングも失った。 こうなれば、東芝にとっては絶好の反撃機。しかし、サントリーのよく相手を研究した防御は確かで、やはりモールが押せない、展開がつながらない。 それでも２３分に大きく展開してリーチがライン際を力強く突進し、トライかと思わせたが、ゴール直前にタッチへ倒された。 ２度目の人数有利の条件も、東芝は攻めあぐんで生かせず、サントリーはデュプレアが戻るやいなや日和佐、ピシのコンビに入れ替えた。 東芝は、３２分にようやく大きな展開からライン際の縦突進でゴールに飛び込んだが、スローフォワードで実らず、攻めの足が止まり始めた。 トライへの突破が単独突進になっては、東芝の威力が落ちてミスが出る。 見透かしたように、３５分に自陣ゴール前のラックでターンオーバーしたサントリーは、元気いっぱいのピシが７０㍍近くを走り切る逆襲独走トライを奪い、ニコラスのゴールで勝利を決めた。 ロスタイムに東芝は懸命に連続攻撃を仕掛け続けたが、相手をノートライに抑え込もうというサントリーの意欲がまさって、ゴールを割らせなかった。 積極攻撃のサントリーが、相手の防御ミスを突いてトライを連続し、２度の１４人で闘うピンチを好防御でしのいで快勝した。 パワーとスピードに加え、研究熱心さもうかがわせて、サントリーの全勝街道を納得させる、図抜けた強さだった。 とはいえ、リーグ戦で総反則数が１４チームで２番目、反則ポイントは３番目という反則の多さは、この試合でも克服できず、ピンチを招いたことを肝に銘じるべきだろう。 東芝は、バックスに強力な突破口を持てなかったことが最後まで響き、パワフルだが単調な攻撃法からの飛躍が必要だ。 ともに持ち味を発揮した好ゲームだったが、レフリングには疑問が残り、国際トップ級の試合とは言えなかった。 ２０１３年１月２７日記 |
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