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大野晃のラグビー通信 |
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号外１５０ ２０１２年８月２１日 |
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※月刊誌ラグビーマガジンに連載中のコラム「楕円球界定点観測」から、２０１２年１０月号（２０１２年８月２０日すぎ発売）に掲載する原稿を転載致します。 大野 晃 |
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◇１０年目の正念場リーグ幕開け◇
いよいよ、10年目のトップリーグが開幕する。 若い日本代表たちの飛躍が期待されるリーグでもある。 ３年後のワールドカップ（第８回Ｗ杯）は、五輪でわいたロンドンで開催される。 五輪では、日本選手団が史上最多のメダルを獲得し、世界トップに迫る健闘に国民ファンは興奮した。 ラグビーの母国・イングランドでの日本代表にも大きな期待が集まるだろう。 五輪日本選手団の成果は、厳しい競技生活環境の中で、競技者たちが代表としての使命を自覚し、ファンや支援者との連帯を深めながら自主的な努力を続け、競技者同士や関係者の団結を強めて生み出したものだった。 自主性、使命感、団結、そして連帯意識こそ、ラグビーの日本代表に不可欠なものだ。 それを体現する競技者を輩出することがトップリーグに求められる。 体力、技術にとどまらず、精神的なたくましさを育て切れるか。 １０年目の正念場だ。 ワールドカップ１年後とあって世界トップの代表経験者たちが続々と来日した。 パナソニックのＮＺ・ＣＴＢウイリアムズ、神戸製鋼の豪州・ＦＬエルサム、リコーの南アフリカ・ＣＴＢオリフィエ、トヨタ自動車のＮＺ・ＦＬカイノ、キャノンのＮＺ・ＣＴＢトエアバ、ＮＴＴコムのサモア・ＷＴＢツイランギ。 Ｗ杯などで世界のファンを魅了してきたスターたちが、日本支援に立ち上がったかのようだ。 サントリーを王座に導いたＦＬスミス、ＳＨデュプレア、ＳＯピシ、パナソニックから神戸製鋼に移ったＣＴＢフーリー、サントリーからＮＴＴコムに移ったＦＬクレバーら昨季のトップリーグを盛り上げた勇者たちも負けてはいないだろう。 ようやく日本的システムに溶け込んで、地力を爆発させそうな２年、３年目の有力外国出身者も目白押しだ。 日本国籍取得者やアジア枠を含め１１５人を超える外国出身者がトップリーグに集まった。 来年度から１６チーム出場に拡大するため、トップリーグ入りや復帰を目指す下部リーグチームにも新大物外国出身者が顔をそろえる。 世界のファンが注目する日本の最高峰リーグに発展してきた。 とはいえ、日本人競技者が充実しなければ、有力外国出身者も存分に働けない。 レギュラー争いや対面勝負で、有力外国出身者をおびやかす日本人競技者の飛躍にこそ、ファンの期待は高まる。 ２連覇目指すサントリーを中心に王座返り咲きを狙うパナソニック、東芝の３強を軸にした優勝争いに変りはないだろうが、世界トップ経験者を補強した神戸製鋼や堅守復活を目指すＮＥＣ、実力を蓄えた名門の近鉄やリコー、巻き返しを期すトヨタ自動車と、日本一の実績を持つ強豪が挑みかかる。 新興勢も下剋上を狙って意気込む。 激戦必至の優勝争いは序盤から目が離せないだろう。 ラックからの速い球出しを促す５秒ルールなどゲームのスピードアップを目指す試験的新ルールが、日本ラグビーらしいスピーディーな展開の応酬に弾みをつけそうだ。 昨季までは３強が飛び抜けた力を発揮し、終盤は３強の争いばかりが注目されて、リーグ戦の尻つぼみを感じさせた。 システムの変わる来年度から、後半戦は８強による激しい王座争いを目指す。 それだけに、今季は、新システムの条件を満たすだけの混とんの競り合いが終盤まで続くことが求められる。 スピーディーな展開勝負が連続して、日本ラグビーの魅力が再認識されれば、国民人気は高まり、７年後のＷ杯開催に関心が集まるはずだ。 今年度は全国大学選手権もリーグ戦を取り入れた新システムに変る。 将来の日本代表を育てることを意識した思い切りのいいプレーで、はつらつと争うことを多くのファンは待ち望んでいる。 日本ラグビーの魂をよみがえらせるシーズンにすることが最大の課題のはずだ。 ひと足先に五輪日本選手団が示した自主、団結、連帯を実感させる好ゲームの連続を夢見る。 ２０１２年８月１６日記 |
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