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大野晃のラグビー通信 |
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号外１１６ ２００９年１１月２０日 |
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※月刊誌ラグビーマガジンに連載中のコラム「楕円球界定点観測」から、２０１０年１月号（２００９年１１月２０日すぎ発売）に掲載する原稿を転載致します。 大野 晃 |
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◇三洋電機が首位を走る◇
第７回トップリーグは前半戦を終わり、初優勝目指す三洋電機が７連勝で首位を走っている。 勝ち点２差で６勝１分けのサントリーが追い、２チームだけが負けなし。 さらに勝ち点４差で５勝２敗の東芝が続く。 東芝から勝ち点６差と離された神戸製鋼が４位だが、ヤマハ発動機、クボタ、トヨタ自動車の７位までに大きな差はない。 ３強を追って４チームが横一線でしのぎを削るといった優勝戦線だ。 前回５位のＮＥＣが１勝６敗と不振で、１２位に沈んでいる。 前半戦の闘いぶりを点検すると前回同様に三洋電機、サントリー、東芝の３強が王座争いを引っ張っているが、実力は紙一重の差である。 三洋電機は、安定したセットプレーと結束の良いラックでＦＷが圧倒し、ＳＯブラウンの正確な戦術キックと展開リードで全員がよく走る。 ＦＷ戦で受け身に立つと攻めあぐむが、好防御で立て直しマイペースに持ち込む。 高い得点力と堅実な防御でスキがなく、開幕戦の対東芝戦以外ではコカ・コーラに苦戦したくらいで、余裕を持って快進撃を続けた。 サントリーは初戦でしぶとい神戸製鋼と引き分けたが、第２戦で縦横に快走し、勢いがついて圧勝街道。 スクラムが強く、セットプレーは安定し、ラックにパワーがある。 強力ＦＷが圧力をかけて、ＳＨグレーガンの速い球回しが生きてきた。 スピーディーでパワー豊かな縦突進の連続攻撃は圧倒的だ。 ラックを抑え込まれるとバックス展開に詰めの甘さがのぞき、防御に緩みが出るのが不安だが、爆発力は群を抜く。 東芝は、強力ＦＷとＳＯヒルの好リードで、展開しながらＦＷが縦につなぐスピーディーな攻撃を誇る。 開幕戦で三洋電機ペースに巻き込まれ、トヨタ自動車の強い防御にあって２敗したが、タックルからラックを支配して逆襲する固い防御で安定している。 リズムに乗るのが遅いのが弱点だが、確実なタックルでペースをつかむとトライをたたみかける。 神戸製鋼はしぶとく競り合いを制す勝負強さは健在だが、王座を狙うには攻撃力とパワーが不足。 それでも好防御で接戦に持ち込むと強い。 ヤマハ発動機は強力ＦＷの突進とバックス展開がかみ合わず序盤戦は苦しんだが、攻撃力が高まってきてベスト４争いに食いついている。 逆にクボタは序盤に３連勝の好ダッシュだったが、ＳＯドゥラームのキック頼りで攻撃力不足から苦戦。 確実な防御からの巻き返しを狙う。 トヨタ自動車は初戦こそミスが多くヤマハ発動機と引き分けたが、その後、前へ出る強力ＦＷが勢いづいて４連勝。 しかし速い連続攻撃に振り回されて２連敗。 パワー豊かだが決め手に乏しいのが克服課題だ。 ＮＥＣの不振は痛々しいほど。 ＦＷ力に富みながら、バックスとかみ合わず競り合いに弱い。 入れ替え戦へのピンチに、意地をみせるか。 コカ・コーラが８位につけているが、ＦＢウェブの加入で展開力が豊かになり速い連続攻撃で実力アップした。 ＦＷのパワー不足は否めないが、上位躍進を予測させる。 リコーもＦＢラーカムの好リードで展開力がアップし、上位を苦しめそうだ。 全体として防御力が高まり、接戦模様だが、戦術キックを多用するチームが多くなり、大きな展開攻撃がほとんど見られなくなったのは残念だ。 キックを追ってのパワーとスピードの激突は迫力があるが、パスゲームの面白さは薄れている。 カウンター攻撃が少ないのも気になる。 外国人有力選手を除けばキック処理のレブルアップが見られないうえ、勝利第一でリスクをおそれるからか。 接戦の多さはスリリングな試合展開を感じさせるが、攻防のプレーでのスリルの不足は観衆の満足感を生み出さない。 展開勝負で興奮させる日本ラグビーの伝統的な特色が消えるのではないかと危惧する。 全体として観衆は増えているようだが、１万人を超えたのは開幕戦１試合だけで、２０１９年ワールドカップ開催が決定しながら、人気爆発がないことも気がかりだ。 ２００９年１１月１０日記 |
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