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大野晃のラグビー通信 |
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第１２７号 ２００９年９月４日 |
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◇三洋電機が好スタート◇ ラグビーの２００９年度第７回トップリーグ開幕戦が２００９年９月４日、東京・秩父宮ラグビー場で、ナイトゲームで争われ、前回準優勝の三洋電機が２４―１８で前回優勝の東芝に快勝し、好スタートを切った。 １０年後の２０１９年にワールドカップの日本開催が決まった日本ラグビーの牽引チーム同士が、どんな意気込みを見せるか注目の開幕戦だったが、観衆は昨年の開幕戦（９月５日三洋電機・サントリー）より２０００人余少ない１万２７９６人だった。 実力伯仲の両チームは、キック合戦となった前半、２４分まで三洋電機が１３―０と大量リードしながら、追う東芝が終了目前に逆転して１５―１３とリードした。 後半は展開勝負となり、東芝の猛攻をよく抑えた三洋電機が２６分に再逆転トライし、２ＰＧを加えて押し切った。 粘り強い防御の三洋電機が、ＳＯブラウンのキックをうまく使って、ミスの多かった東芝をしのいだ。 三洋電機は、第６回トップリーグ決勝の雪辱を果たし、通算対戦成績を２０勝１７敗とした。 前半、風上の三洋電機は、ＳＯブラウンのハイパントによるラッシュで東芝のバックスリーを攻める。 正確に相手のスキを突くブラウンの巧みなキックで、勢いよく前に出る得意の戦法だ。 開始早々の２分、これが効いて、ブラウンのハイパントを東芝がキャッチそこねると襲いかかり、こぼれ球をさらにゴールへキック。 チェイスしていたＷＴＢ三宅がインゴールで抑えて、先制トライ。ＦＢ田邉がゴールした。 ５分、２４分に田邉が２連続ＰＧを決め、１３―０と大量リード。 東芝は、ブラウンのキック攻勢を、ＳＯヒルらがキックで返すだけのキック合戦に巻き込まれて三洋電機ペースにはまった。 それでも、得意の縦突進の連続から東芝はリズムをつかみ始め、ラインアウトからのモールを押して、２７分にヒルがＰＧ。 ようやく東芝のパワー攻撃が生きてきた。 勢いよく前に出て、ラックを支配してきた三洋電機だが、いささかオフサイド気味で、２９分にＳＨ田中が反則の繰り返しでシンビン。１４人のピンチに立った。 すかさず東芝は、このＰＫでヒルが、近い右サイドへのタッチキックと見せて、左へ大きく長いクロスキック。 ノーマークのＷＴＢ仙波とのサインプレーで、ダッシュよくチェイスした仙波が取って左へトライ。ヒルが難しいゴールを決めた。 ブラウンのお株をとった元オールブラックの後輩の一発勝負だった。 １０―１３と３点差に詰め寄り、人数の優位に立った東芝が意欲的にキックに対するカウンター攻撃を仕掛ける。 三洋電機はＳＨを欠いているから密集サイドの防御のスキが出る。東芝はＦＷが抜いて出る。 ４０分に、スクラムからＳＨ吉田朋が持ち出して、縦につなぎ、ＷＴＢ廣瀬主将がステップを切って、ついに逆転トライ。１５―１３と２点差リードした。 後半はリードした東芝が展開勝負をかける。 ラインアウトのモールを押し込んで、得意の力攻めから展開する東芝だが、三洋電機の前に出ての強い防御につなぎミスが出て、詰め切れない。 三洋電機は、東芝の攻勢を懸命に倒して、タックル・ターンオーバーからカウンターキック。こちらも展開はつなぎミスが多い。 ともに速いパス回しだが、まだ初戦とあってミスが目立つ。 守った三洋電機が２６分、カウンター・キックを交代ＷＴＢ吉田尚が好チェイス。 攻めながらの反撃にあせった東芝ＦＢ立川がボールを抑えそこね、吉田尚と競り合って、インゴールでは一瞬速く、吉田尚がボールへ飛び込んだ。再逆転トライ。 これが決勝トライとなり、１８―１５とリードした三洋電機は、ラックのターンオーバーからキックで相手陣に入る手堅い攻めを繰り返す。 そして、反則の多い東芝を突いて、３０分、３２分に田邉が２連続ＰＧ。２４―１５と９点差をつけた。 ３９分に中央４０㍍でＰＫを得た東芝はあえてＰＧを狙い、残りワンプレーでの再々逆転トライ、ゴールを狙う。 ヒルがきっちりＰＧを決め、６点差にしたものの、展開攻撃にミスが出て、三洋電機に抑え込まれた。 展開勝負の攻防はスピーディーで見ごたえがあったが、ともに攻撃の正確さを欠き、シーズン幕開けの粗さが際立った。 結局、元オールブラックスの巧みなキックと、キック処理にもたつく日本人バックスリーが明暗を分けた。 今季のトップリーグは、キックの攻防が、より重きをなしそうだ。 その意味では、国際的になってきたと言えるが、ファンにとっては、もの足りないとも言えそうな開幕戦だった。 ２００９年９月４日記 |
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