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大野晃のラグビー通信 |
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第１２０号 ２００８年２月２４日 |
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◇サントリーが逆転で初の王座◇ ラグビーの２００７年度第５回トップリーグ決勝は、２００８年２月２４日、東京・秩父宮ラグビー場で争われ、サントリーが１４―１０で三洋電機を降し、初優勝を飾った。 三洋電機が前半を１０―７とリードしたが、サントリーは後半２０分 にＷＴＢ小野澤が逆転トライし、三洋電機の反撃を抑え込んだ。 サントリーは、リーグ戦では１０勝２敗１分けの２位だったが、準決勝でトヨタ自動車に快勝し、２年連続２回目の決勝進出を果たしていた。 全国社会人大会からの通算では、リーグ、８強トーナメントを含め３回連続９回目の決勝進出で、５年ぶり４回目の優勝だった。 三洋電機は、２年ぶり２回目の準優勝で、全国社会人大会から通算で、２年ぶり９回目の準優勝となった。 リーグ戦で１３戦全勝とトップに立ち、準決勝で４連覇狙った東芝 に劇的逆転勝利して、初の決勝進出を果たしていたが、初優勝はならなかった。 三洋電機とサントリーの決勝対戦は初めてで、全国社会人大会決勝からの通算では、１９９５年度第４８回で２７―２７の引き分け両チーム優勝以来、１２年ぶり２回目の対決だった。 通算対戦成績（東日本リーグ、全国社会人大会、トップリーグ、同８強トーナメント、日本選手権を通じて）は、サントリ―の１年ぶり（２戦ぶり）勝利で、１３勝１１敗１分け。 強風が吹き荒れるグラウンドは、ボール・コントロールがむずかしく、ミスが出やすい。 ともに堅い防御を誇り、がまん比べの息づまる試合展開だった。 前半風上の三洋電機はＳＯブラウンのキックが風に乗って伸び、サントリー陣深くに攻め込んだ。 しかし、準決勝同様にラインアウトを支配できず、ボール確保が不安定で、サントリーＦＷパワーにスクラム、モールを押し込まれた。 サントリーは、モールを押し込み、ＦＷ突進ラックを繰り返して、ボール保持に全力を尽くす。 ボールを動かさず、三洋電機の攻撃機を極力抑えて、風下の不利な条件を耐え忍ぶ作戦が明確だった。 ３分にブラウンがＰＧして先行した三洋電機だが、ブラウンがＤＧ、ＰＧをミスして追加点が奪えない。 パワーで押し返すサントリーは１７分、三洋電機ゴール前ラインアウトから、三洋電機がキャッチミスすると、ＮＯ８竹本が後方でキャッチして一気にゴールへ突進。 三洋電機防御の穴を突いて逆転トライ、ＣＴＢニコラスがゴールを決めた。 三洋電機のラインアウトの攻防での不安定さが、堅い防御を緩ませて、ワンチャンスにかけるサントリーの意気込みにのまれた。 それでも、三洋電機は２３分にＰＫからの速攻でブラウンが飛ばしパスをからめた大きな展開を右へ仕掛け、ＦＬオライリーらが確実につないで左への揺さぶり。 ＮＯ８ホラニが抜け出して、パワーあふれる独走でサントリー防御を切り裂いて再逆転トライを奪った。 ブラウンのゴールも決まって三洋電機が１０―７とリードした。 後半風上のサントリーは、今度はキックで攻め込むが、オープン展開は避け、ラインアウトからのモールの押し込みやＦＷ突進ラックの連続。 ボールを動かさず、ボールを離さずの持久戦に持ち込む。 三洋電機のラック防御は厳しく、再三ターンオーバーしてスキを見せない。 ところが２０分、ラインアウトからクイックパスを受けた小野澤がサイドを突破すると、緩んだ防御が届かない。 小野澤が一気にトライしてサントリーが再々逆転。ニコラスがゴールを決め、サントリ―が１４―１０と４点差をつけた。 サントリーは手堅いパワー攻めを繰り返す。 ３０分すぎから三洋電機は、準決勝で３５分すぎの２連続トライにより東芝に劇的逆転勝ちした夢よもう一度とばかりに、大きく振って反撃。 しかし、ラインアウトからのモールを押し込んでボールを保持するサントリーＦＷを押し返せず、ピンチを招く。 タックルで倒してのターンオーバーが得意な三洋電機ＦＷだが、モールをしっかり組んで、ジワジワと押しながら時間を稼ぐサントリーを崩せない。 これではブラウンにボールが渡る機会が少ないから一発逆転機が作れない。 ブラウンはラックに飛び込んで自らボールを奪いに行ったが、今度はラインが動かない。 結局、巣穴から瞬時飛び出して獲物を手にしたら、あとは巣穴に潜み込むようなサントリーの作戦が功を奏した。 三洋電機は準決勝で課題として残ったラインアウト対策やモール対策の工夫不足で力を出し切れなかった。 「とにかく勝ちたい、優勝したいの気持ちで一つになった」という清宮サントリー監督のねちっこさが、リーグ２位からの逆転優勝に結びついた。 観戦していて肩に力が入るほどの激戦には違いなかったが、展開勝負のダイナミズムはなかった。それが残念だった。 ２００８年２月２４日記 |
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