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大野晃のラグビー通信 |
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第１１８号 ２００８年１月７日 |
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◇東福岡の個人パワーに初栄冠◇ ラグビーの２００７年度第８７回全国高校大会決勝は、２００８年１月７日、小雨の東大阪・花園ラグビー場で争われ、東福岡（福岡）が１２―７で伏見工（京都）を降し、初優勝を飾った。 東福岡は２年連続４回目の決勝進出で、悲願の頂点に立った。 九州勢の優勝は、第５４回の大分舞鶴（大分）以来、３３年ぶり５回目。 ２年ぶりの王座目指した伏見工は２年ぶり６回目の決勝進出で、１０年ぶり２回目の準優勝にとどまった。 ４度目の正直で王座に就いた個人パワー重視の東福岡。 谷崎監督は「後半、初めて攻めのタックルができた」と喜んだ。 後半２０分をすぎて、伏見工がゴール前スクラムのサイドを突進し、大きく広い展開で攻めに攻める。 しかし、あと一歩、ゴールに届かない。 東福岡のパワーに富んだ防御にスキがない。 逆襲を狙って、よく前に出て、伏見工のリズムを奪って５点差を守り切った。 個人パワーを爆発させた攻撃的防御の勝利だった。 準決勝までの試合ぶりから見て、大型ＦＷ、大型バックスの東福岡が豊かな個人パワーで攻めかけるのを、堅い防御と大きな展開でわずかな好機を着実に生かす試合巧者の伏見工がどう受けとめて切り返すかが焦点だった。 しかし、ふたを開けると、まったく逆の展開になった。 前半早々から積極的に仕かけたのは伏見工。 しかし、モールを押し込まれて決め手がない。簡単なＰＧミスで先制機を逃し、ミス多発。 流れが変わった。 ラインアウトとモールに自信を得た東福岡は８分、連続攻撃で振り回して、切り札ＷＴＢ正海が突破し、ボールをゴールにけり込んで、自ら抑えた。 スピードに乗った１８７㌢、８３㌔の大型トライゲッターの快走に、伏見工防御は手が届かなかった。 東福岡は１６分にもＮＯ８山下昴主将の突進などから、ラックを支配し、ＳＨ中村がサイドを突いてトライ（ゴール）。１２―０とリードを広げた。 伏見工は、自信の防御が東福岡のスピードにほんろうされて崩れた。 ラインアウトが取れず、パワー攻めも失敗。 それでも後半は、ハードタックルからボールを奪って逆襲する伏見工自慢のパターンが目覚めた。 ５分にスクラムからの展開でＦＢ井口主将が突破し、さらにラックからの展開で井口がトライし、自らゴール。 ５点差に迫って、伏見工の多彩な攻撃が火を噴いた。 縦突進し、大きく展開し、スキを狙う。 しかし、東福岡の前へ出てのハードな防御に、攻撃のリズムが単調になって崩せない。 逆襲することはできなかったが、東福岡の攻撃的防御にためらいは一つもなかった。 大型選手が個人パワーを高めて、自在な展開により頂点を目指してきた谷崎監督。 手堅さより、リスクを恐れぬ大らかなプレーの指導は、力はありながら粗さが残って、なかなか結果がでなかった。 しかし前回のメンバー６人を残す２年連続の挑戦で結実した。 ２年がかりでつかんだ王座は、高校ラグビーのダイナミズムを追求する新しいチームつくりへと導くだろう。 伏見工の目指す方向も同じだ。 だからこそ、中身の濃い決勝だった。 ２００８年１月７日記 |
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