第５回ワールドカップ大会（Ｗ杯）を２カ月後に控え、Ｗ杯王座の行方を占うものとして注目されていた第８回南半球３強国対抗戦（トリネ―ションズ）は、ニュージーランドが、２年連続５回目の優勝を６年ぶり３回目の全勝で飾り、１６日閉幕した。

　２位は、豪州で、南アフリカが最下位だった。

　２回戦リーグで争われた対抗戦で、ニュージーランドは、初戦で、南アフリカに５２―１６の大勝。続く豪州をも５０―２１で圧倒した。

　後半戦は立ち直った両国に苦戦したが、それでも、南アフリカを１９―１１で降し、豪州との最終戦は、２１―１７の手堅い勝利だった。

　切り札ＷＴＢロムー、ＮＯ８ランドル、ＦＢカレンの主軸を病気やケガで欠く布陣だったが、２０歳のＷＴＢロコココやＮＯ８コリンズ、ＦＢムリアイナの新人トリオが大活躍して穴を十分に埋めた。

　ロコココは６月１４日の対イングランド戦が代表デビューだったが、７戦で１１トライを記録。１９０�a、９８�`の大型ＷＴＢがオールブラックスの新しい武器となった。
　
　２３歳のムリアイナも同じデビューで攻守に安定している。また、もう一人のＷＴＢハウレットは２４歳で、テストマッチ通算２４トライ。

　今年の南半球３強国対抗戦で、ニュージーランドは、計１４２点の高得点をマークしたが、奪った１７トライのうち、ロコココが６トライ、ハウレットが５トライをあげている。

　機動力のあるＦＷが先行しながら、意慾的に展開し、ＣＴＢのマウガーとウマンガの好リードで、決定力のあるＷＴＢを走らせた。

　ＳＯスペンサーのゴールキックは正確で、計６０得点。１トライ、８ゴール、１３ＰＧをマークした。スペンサーのテストマッチ通算得点は２５０点に達した。

　展開力を持ち、強力なＷＴＢの決定力と確実なゴールキック。ＦＷパワーがやや不足とはいえ、オールブラックスらしい安定した力を蓄えている。

　１９８７年の第１回大会以来の、Ｗ杯王座が見えてきた。テストマッチ１３連勝中のイングランドに肉迫している。第５回Ｗ杯で、両者が、決勝を争うことになりそうだ。

　Ｗ杯２連覇目指す豪州は、初戦で南アフリカに２２―２６で競り負けた。そのショックが尾を引いたか、ニュージーランドに大敗。

　南アフリカには２９―９で完勝し、雪辱できたが、ニュージーランドには２戦目も届かなかった。

　自慢のバックスにケガ人が多く、バックスラインが定まらずに苦戦の連続で１勝３敗。１１トライを奪われて、堅い防御にほころびが出た。

　Ｗ杯王者から一転して新しいメンバーで巻き返しを狙ったが、まだ途上にある。Ｗ杯地元開催へ、どう建て直すか興味深い。ベテラン復帰もありそうだ。

　悩み多きは、南アフリカだ。初戦で豪州に競り勝ったものの、その後は３連敗。激しい防御は戻ってきたが、展開力が不足している。

　こちらも主力のケガ人続出でメンバー編成に頭を痛めた。強力ＦＷのパワーをどう生かすかが課題だろう。